Write Me Back / R. Kelly * 2012 Zomba

なんやかんやで20年程、メジャーシーンで生き抜いてきたR.ケリーの17作目。バリバリのニュージャック・スウィングで登場(←模倣にしてはカッコよかった)して、アイズレー・マナーでエロR&Bを確立。ロナルド師匠の再浮上をサポートしたり、ステッパーズにも対応して時代にも敏感なのが偉いとこ。そして今やってるのはオールド・ソウル回帰。なんでも器用にこなす人ですが、ココ最近の好調ぶりは目を見張ります。
そんな事でコノ新作。まず聴こえてくるのはテディ・ペンのいた頃のブルー・ノーツみたいな音。フィリー調のグレイト・ダンサー「Love Is」でいきなり万歳三唱です。続くシングル曲「Feelin' Single」では、ビル・ウィザードのあの調べが登場。名曲“Lovely Day”をアップ・テンポにR.ケリー流に仕立て上げていて、これも燃えます。3曲目「Lady Sunday」なんかはスピナーズ“I'll Be Around”2012年度版ってな具合。ん~、たまらん。ちゃんと売れるのか心配になるくらい'70s ソウル趣味爆裂で突進です。生音演奏が心地良い「When A Man Lies」、多重録音コーラスが激カッコええ「Clipped Wings」、スティーヴィーの全盛期彷彿の「Believe That It's So」と、どこまでオッサンを喜ばしたら気が済むねんってくらい最高の展開。中盤はスモーキーのミラクルズを意識したような「Fool For You」、レイ・チャールズ調「All Arounds On Me」とさらに先輩をリスペクト。曲もエエもんやから“単なるモノマネやんけ”とはなりません。「Green Light」なんか、いっそのことR.アイズレーが御本人登場てな感じで乱入してもおかしくない曲調。また「Party Jumpin’」ではデトロイト・モータウン風のダンス・ナンバーも披露。古いレコード並べて、楽しんでレコーディングしたような風景が見えてきそうです。1stシングル「Share My Love」では、これから世界に最も必要なテーマをお得意のシカゴ・ステッパーズに乗せて歌っててコチラも高得点。本来のアポロ劇場ジャケ盤はココで終わりですが、ブルーノート風ジャケのDX盤はまだトドメを刺しにきます。マイケルを意識したとしか思えない「Beautiful In This Mirror」、マーヴィンの“Distant Lover”ケリー版と言っていい「One Step Closer」で締めるという憎すぎる延長戦です。同じノスタルジックな音でもラファエルより格段にスマートに仕上げてます。
「笑点なら座布団10枚の快作。本人の個性も強いのが吉と出て、モノマネ大会になってないのが◎です!」
Share My Love
One Step Closer
megumick
No title