Meaty Beaty Big and Bouncy / The Who * 1971 Polydor

たまに無性に聴きたくなるザ・フー。予定調和と対極にある異物感バリバリの演奏。これこそロックのスリル!コーラスとかもバシッと決めれるのに、ブリブリのベースが突如入ってきたり、ココでこのフィルイン?っていう爆裂ドラム。これはかなり快感です。(←大音量で効果倍増) 特に鋭角的な60'sのヒット曲はR&Bの影響も顕著で何かしら魅力的です。インパクト抜群で他を探してもコノ感覚は味わえません。ジェイムス・ブラウンに憧れつつも我を押し出さずクールに歌うロジャー・ダルトリー、パワーコードと綺麗な和音を巧みに使い分けるピート・タウンジェント、やたら音数が多い歪んだベースが痛快なジョン・エントウィッスル、予測不能かつ奇想天外なドラミングで聴く者を虜にするキース・ムーンとそれぞれが最高の役者揃い。大作主義っぽくなる時期は正直あんまり知りませんが、アルバムでいうと不朽の傑作“My Generation”や、“A Quick One”なんかは最高。でもシングル主体の60年代は、アルバム曲以外でもアホほどカッコええ曲があります。そこで重宝したのがこのシングル・ベスト。今では色んなベストがあって、どれでも本作収録曲は聴けそうなもんですがレコード時代は本作がマストでした。
65年のデビューシングル「I Can't Explain」からですが、やはり魅力はモータウンなんかにも通じるポップなR&Bの香りと、ワイルドな演奏の融合。特に2ndシングル「Anyway, Anyhow, Anywhere」なんか何度聴いてもブッ飛びます。途中からフィードバックやら何やで無茶苦茶になる展開かと思いきや、ちゃんとポップなAメロに戻るっていう破天荒な構成。そしてピストルズも演っててそこで最初知った激カッコええ66年ヒット「Substitute」も傑作。ピートの華麗に決まるリフにフォートップス系のモータウン・リズムをパンク化したようなリズム隊が覆いかかる凄まじき曲。また歌メロ自体はスプリームスみたいなキャッチーさなのに、例によってジョン&キースの凶暴なリズム隊が暴れる「Pictures Of Lily」とマジ最高です。同じようなノリの「I'm A Boy」あたりもグレイトです。パーカッシヴなアレンジが映える「Magic Bus」、イギリス的な「Happy Jack」、ポップ&ハードな名曲「I Can See For Miles」なんかも聴きモノ。勿論モッズ・アンセム「The Kids Are Alright」に「My Generation」もビシッと収録。
「長髪になる前のフーはやっぱ格別。最強のフー・ベスト盤といえばいまだにコレですわ。」
Substitute
Pictures Of Lily
Anyway, Anyhow, Anywhere
波野井露楠