Combat Rock / The Clash * 1982 Epic

80年前半、日本でセンセーショナルな登場で圧倒的な支持を受けた“アナーキー”。そのアナーキーがカバーしてた曲のオリジネイターが、パンク登場期に君臨していたザ・クラッシュでした。アナーキーの洗礼を受けた者は、必ず聴き進んだバンドです。当時、ブルース・ブラザーズやらクールスやら何やかんやと貸してくれた、ファッションも音楽もセンス抜群の友達がいまして、その時に借りたリアルタイムでの初クラッシュが本作でした。バンコクのレール上で撮られたジャケ写も相当カッコよくて、一発で好きになっちゃいました。タイムリーにNHKで初来日のライヴも放映していて、“This Is Radio Clash”(←ファンキーな傑作)のシングルとか買ったりしましたが、このクラッシュ最後の輝きとなった本作はCDになって改めて買ったほど愛着のある作品。初期の名作と共に、今でもたまに聴くと燃えます。
チャラ男な雰囲気が一切なく硬派な感じが魅力ですが、そのイメージにぴったりだったのが権利主張と題された1曲目「Know Your Rights」。パンキッシュに鋭角的に切り込むミック・ジョーンズのギターと、演説チックに叫ぶジョー・ストラマーが圧倒的にカッコええ曲で、おそらく本作を買った人がコノ曲を聴いて“よっしゃ”となったハズです。後は初期からするとソフトな曲が多いですが、ミック・ジョーンズの豊かな音楽性も手伝って意外にバラエティに富んでます。ミックが歌ったロックン・ロール「Should I Stay Or Should I Go」や、ファンキーな感触もクールだった「Rock The Casbah」など、とっつきやすいシングル・ヒットも収録。エッジの効いたギター・サウンドが聴ける「Car Jamming」もボ・ディドリー風のビートでカッコいいです。他の曲は、中学生の時は正直物足らんかったけど、後になって味わい深く聴けました。アフロな感じがたまらん「Straight To Hell」も印象深いですが、後半のバラエティに富んだB面も秀逸。ファンキーなアレンジの「Overpowered By Funk」に、核戦争を歌った「Atom Tan」、ジャングルを彷徨う感じの「Sean Flynn」、蜜月だったエレン・フォーリーの声も聴けるポップな「Inoculated City」と全然パンク・サウンドではないですが飽きずに聴けます。最後のシャンソンのような「Death Is A Star」もムチャムチャ渋カッコいいです。この後、メンバー間の不和も相次ぎ、アメリカでもせっかく売れたのに分裂状態となり、まさかの失速。でも極東では、その分子とも言える森ヤンのThe Modsが、隣国のアイルランドではU2がその意志を引き継いで、地続きで聴けました。
「もし80年代、クラッシュが走り続けたら・・と思わせる最後の傑作。さすが、男前ジョー・ストラマーです!」
Know Your Rights
Rock the Casbah
くまきち
懐かしい!