サンボマスターは君に語りかける / サンボマスター * 2005 Sony

年末に少しだけ見た紅白の中で鮮烈だったのは猪苗代湖ズとしてのサンボマスター山口隆の登場。今の日本ロックで最も熱い男の、むさくるしい面、暑苦しい声が国民的番組に登場するとはちょっとした衝撃でした。さらに嬉しいのは裕也さんのニューイヤーロックフェスの銀座ステージにも紅白の後に駆けつけて、熱いパフォーマンスを繰り広げたこと。山口隆とエレカシの宮本浩次にはずっとニューイヤーロックに出て欲しいと思ってたのでガッツポーズです。出身地である福島に対する熱い思いが伝わるナイス・パフォーマンスでした。デヴューしてもう5年以上経つのに全然垢抜けないその風貌にも頼もしさを感じます。個性あふれる山口氏のヴォーカル・スタイルは賛否あり、紅白で「ただ、うるさかった」と評した元ニュースキャスターのツイッターもありましたが、さすがに炎上した模様。何より、数少ないウソ臭さを感じさせないロックンローラーの活躍は嬉しい限りです。
そんな事で山口氏の母屋であるサンボの2枚目。最高の1stと同様熱い思いが詰まった秀作です。「歌声よおこれ」から熱くもキャッチーなサンボ節全開です。ラウドな中にもニューソウル好きの山口氏のセンス溢れるコードワークも光る「青春狂想曲」に「これで自由になったのだ」とライヴなどでもおそらく盛り上がり必至であろうクオリティの高い楽曲の連打。極めつけは個人的にも何回聴いても震えまくる、最高傑作といっていい「美しき人間の日々 (サンボマスターは君に語りかけるバージョン)」。ロックンロールしか持ちえない疾走感の中でちょっと文学的な歌詞に熱い叫びが最高の形で結実です。パンクからジャズ、ファンク、ヒップホップまでプレイリストにあげる山口氏の柔軟な音楽的姿勢にも共鳴しまくりです。見た目はこんなですが(←失礼)、ほんとセンスいい人です。中盤以降もホーンセクションも導入ながら本質は一切変わらない「夜が明けたら」、劇的にうるさい「欲望ロック」と心の琴線を刺激しまくり。ソウル趣味がさらに出た、ボビー・ウーマック的なスロウ「想い出は夜汽車にのって」、70'sを思いっきり感じる「週末ソウル」に「マフラーの揺れる間に」あたりも好調。終盤も、お得意のイントロからの語りも熱い「あなたが人を裏切るなら僕は誰かを殺してしまったさ」に、ラストを飾る人気曲「月に咲く花のようになるの」まで手抜きなしの熱すぎる展開。
「しらけた時代に、やたらめったら一生懸命に熱くロックする3人。泣ける奴らです!」
I love you & I need you ふくしま
ryo
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