Passion / Regina Bell * 1993 Columbia

ホイットニーも上手いんだけど、もっとソウル臭が欲しいってときに打ってつけだった激ウマシンガー、レジーナ・ベル。マンハッタンズのアルバムでフィーチャーされた後、その後に一大ブームとなったクワイエット・ストームの中でアニタ・ベイカーなんかと同じ括りでスターの仲間入り。80年代当時はその手の音楽など眠たくて聴いてられませんでしたが、後になって良さは認識できました。そしてR&Bが勢力を増してきた時にリアルタイムで買ったアルバムがこれ。感動的な程に歌が上手いと感じた優秀作でしたが、ベタすぎる作品も同居してるのがちょっと惜しい作品です。
中でも驚異的な歌唱を堪能できるのがナンシー・ウィルソン・カヴァーとなる「If I Could」。特に後半部分のエゲツない高低差を駆使した節回しは絶品。ローリング・ソバットから始まって、ジャーマン・スープレックスかまして、キャメル・クラッチを軽々決める感じです。こんな凄い歌唱は、なかなか聴けません。しょーもない歌手ならばスタンダードっぽいバラードになってしまう、この曲を劇的な感動ソウルに昇華させるテクニックは流石です。一方で本作で、ある意味最も著名な曲でもある「A Whole New World (Aladdin's Theme)」はディズニー主題歌。デュエット・パートナーはPeabo Brysonと完璧な布陣ながら、ちょっとベタすぎ。個人的にはイマイチでした。ビリー・ホリディの「My Man」も同様であまり響かず。上手いんやけど、そっちやないやろって感じ。元は知りませんが、アレサ・フランクリンのカヴァーという「Dream In Color」はゴスペルチックで好感触で、スロウ「The Deeper I Love」や「Love」なんかも上手さが堪能できます。でもバラードとしては「Heavens Just A Whisper Away」が3馬身リードって感じ優秀です。Barry Whiteの低音もフィーチャーした「Quiet Time」や、「Do U Wanna Get Serious」なんかはちょっと80年代も引きずった感ありです。やはりNew Jack経過後を感じるハネもん(←パチンコちゃいまっせ)が心地良しです。冒頭のタイトル曲「Passion」なんかもそうですが、優秀なのは「Tango In Paris」。カッコいいレジーナ嬢が90'sグルーヴに乗っかっててこの辺りは最高です。締めは、コンポーズにNarada Michael WaldenにBrenda Russellが名を連ねる「One Love」にて優雅なグルーヴで終了。
「決してToo Muchとなど言ってはいけません。完璧な歌唱を聴きたいなら、この姐ちゃんです。」
A Whole New World
YO-SUKE
No title