Live On The Sunset Strip / Otis Redding * 2010 Stax

僅か5年間ほどの活動で伝説の男となったオーティス・レディング。私が生まれた時に既に故人だったのですが、唯一無二の歌唱であらゆる世代の音楽ファンを今も魅了します。といっても新録が聴けるワケでもないので、サプライズは発掘モンに限られていくのですが、ヨーロッパ・ライヴの強化盤に続いて出されたのが、このWhisky A Go Goライヴの強化盤。このWhisky A Go Goでのライヴはロードバンドの演奏などが賛否ある音源ですが、個人的には生々しい迫力ある音でヨーロッパ・ライブより好み。今迄「In Person at the Whiskey A Go-Go」と続編「Good To Me」がありましたが、本作は3日間で7セット行われたライヴのうち後半の3セット丸ごと収めたブツ。今迄、愛されてきた2枚も本作とは別セットからの音源もあるので手放せません。重複も数曲ありですが、前半のセットで披露され既発の2枚には収められてた名曲“Pain In My Heart”なんかは今回未収録ですのでWhisky A Go Goコンプリートというと誤解が生じます。とにかくオーティス・ファン必聴と言っていい熱いライヴです。
最初のセット(7曲)は「Security」でスタート。初出テイクでの聴きモノはやはり胸に染みるスロウ。デビューを決めた傑作「These Arms Of Mine」に、本盤ではどのセットでも登場する2ndからの「Chained And Bound」など熱きスロウが生々しく響きます。オーラスは「Respect」で締め。2セット目(8曲)も司会者の軽快な曲紹介からスタートでソウル・ショーっぽくて良いです。やはり初っ端は「I'm Depending On You」とアップでブッ飛ばします。最初のセット(前日分)よりパワフルに聴こえる「I Can't Turn You Loose」や、アンコール含め2回も披露するストーンズ・カヴァー「Satisfaction」などリズム・ナンバーも切れ味良く迫ります。そして聴き入ってしまうのはコレまた国宝級名曲「Just One More Day」といった絶品スロウ。サム・クック調の「Any Ole Way」も軽快でよいアクセントになってますが、ハイライトはヒット曲「I've Been Loving You Too Long」か。そして93年の既発盤にも収められてた「Destiny」から始まる3セット目(13曲)は、安定感も抜群。「Mr.Pitiful」なんかのリズム・ナンバーもありますが、名作4thからの「Good To Me」、3rdの冒頭曲「Ole Man Trouble」など必殺と言っていい激渋スロウがやっぱ光ります。オーティスのスロウは最高であると唸らされます。このセットでのみ登場のビートルズ・ナンバー「A Hard Day's Night」はラフながら、しっかり南部ソウル風のリズム・ナンバーになっていてカッコええです。目玉は既発盤で編集されていたジェイムス・ブラウンのカヴァー「Papa's Got A Brand New Bag」の10分フル・ヴァージョン。Big Oが演る御大J.B.もオツなもんで、バックもシャープな演奏で援護射撃です。
「白人向けクラブのライブで勝負を賭けたライヴながら、ドス黒い展開で押し通すオーティス。男前!」
I Can't Turn You Loose
YO-SUKE
Otis