音系戯言

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The Nightfly / Donald Fagen * 1982 Warner bros

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 80年代前半、自分が知り得る音楽で最も知的でお洒落な響きを持ったアルバムだった“ナイトフライ”。当時はシンプルなR&Rに傾注してたので、積極的に聴くタイプの音やなかったのですが、ジャケットがカッコよかったのもあって兄貴の部屋から勝手に持ってきて気分転換にチョクチョク聴いてました。知らんうちにお気に入りとなり、スティーリー・ダンの諸作まで遡っちゃいましたが、私にとって入り口は本作。MTVが浸透し出してアーティストが身近に感じるようになる中で「どんなオッサンなんか見てみよう」とPVチェックもしましたが、ビデオの曲中に本人は一切出ず。ヒネくれたやっちゃなぁてな印象でした。ブルー・アイド・ソウル・ヴォーカリストの視点でいくと、マイケル・マクドナルドほど黒人と張り合える感じの声でもないので俺流ソウルで押し切ってるとこはポール・ウェラーのスタカンとかと一緒。ただ非黒人によるエキス抽出型ソウルとては極上モノ。スティーリー・ダン同様、緻密で神経質なグルーヴですが何処を突いたら気持ちエエかを熟知したような音構築は流石。プロデューサーのゲイリー・カッツとのコンビ芸はまさに音職人です。
 さてドナルド・フェイゲン初のソロ・アルバムにしてマスターピースともなってる本作。80年代突入ってことでシンセなんかも上手く導入していてスティーリー・ダンより幾分デジタル色も加わりますが、ジャズやソウルを基本にした独特の緻密でグルーヴィーな世界は不変。ツカミであったInternational Geophysical Year(国際地球観測年)を題材にした「I.G.Y.」は本作を象徴する名曲。シンセのイントロから、シャッフルに乗るブレッカー・ブラザーズの心地良いホーン、転調して入ってくる渋いフェイゲンの歌、コーラスが効いたキャッチーなサビと完璧です。アレンジも無駄に自己主張する楽器もなく至ってクールなもの。全然古くならない奇跡の楽曲です。続く「Green Flower Street」はエレピとチャック・レイニーのベースが引っ張っていくソウルフルなアップ。マイケル・マクドナルドとかとのソウル・レヴューでの披露も印象的でした。ドリフターズのカヴァー「Ruby Baby」は泥臭いドゥーワップ原曲をヒネくれたコード感覚で料理。なんともお洒落な曲に変身です。ジャジーなスロウ「Maxine」の後は、B面1曲目でもあった名曲「New Frontier」の登場。TV番組とかでもいまだにBGMとかでよく流れてるので知名度も高い曲。メロウに絡むラリー・カールトンのギターも貢献ですが、エレピに乗った適度に覚えやすい歌メロが主役でシングル曲としてもヒットです。ジャケットよろしくラジオ局をイメージした、マーカス・ミラーの控え目なベースも光るタイトル曲「The Nightfly」も構成からして見事な曲で飽きさせません。そしてフェイゲン色の中でサンバを取り入れたやや異色な「The Goodbye Look」を経て、オルガンが効いたオールド・テイスト「Walk Between The Raindrops」でスインギーな締め。実に粋な構成です。
「こんな凄いモンつくったからか、この後、10年以上も活動停止となったフェイゲン氏。完璧すぎる仕事です!」
I.G.Y. (What a Beautiful World)


Comments 2

ryo

これは・・・

僕の無人島レコの候補に挙がるほど、大好きなアルバムです。
以前、旅行で「I.G.Y.」を聴きながらニューヨーク(夜)を散策したこともあったり、夜寝られなくて明け方に表題曲を聴いたり・・・
流行りのDXエディションが出たら絶対買おうと思うアルバムです♪

2011-06-11 (Sat) 01:52 | EDIT | REPLY |   

ezee

No title

★ryoさん
 たしかに、ず~っと飽きずに聴けるアルバムかも。IGY聴きながらN.Y.なんて粋だな~
DXエディションは何れ出そうな気もしますね

2011-06-11 (Sat) 22:23 | EDIT | REPLY |   

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