熱狂雷舞 / 萩原健一 * 1979 Bourbon

最近のTVで素晴らしく良いのがサントリーの「上を向いて歩こう」と「見上げてごらん夜の星を」のCM。シンプルな歌のリレーながら日本人の絆を感じさせてくれ、何回観ても泣けます。たいした演出も無くシンプルに著名人が歌っていくだけですが、それが奏功して歌のメッセージが浮き彫りに。商品紹介など一切ないのもサントリーの企業価値を高めてます。人選も的確で、長老・大滝秀冶さんから堺正章、仲本工事・加藤茶、和田アキ子、ベッキー、矢沢永吉ら沢山のビッグネームが現在の危機的状況を元気づけようとノーギャラで出演したのも天晴れです。その中で、嬉しかったのが萩原健一の登場。昔、カップ大関のCMも超カッコよかったですが、こういう場面で見るとまたシビれます。ライヴなどではボブ・ディラン的にメロディを崩しまくって歌う人が、真面目に優しく歌ってるのがまたカッコええです。扱いにくすぎて、もはやTV界からは抹殺同様の状況だっただけに喜びひとしお。モデル冨田リカとの結婚で再び精気が満ちてきた感もあるショーケン。60歳になった今、仕事を選びつつもうひと花咲かして欲しいです。
さてこの名作ライヴ。孤高のカリスマ表現者として位置を確立した日本ロックの至宝とも言える2枚組です。バックは柳ジョージ&レイニーウッド。鈴木明男や速水清司といった後のアンドレー・マルローまで繋がる面々も参加です。「イントロダクション」は柳ジョージの名作Weeping In The Rainのリアレンジ。そっから大野克夫作の「蜃気楼」ですが、ジャケの雰囲気そのままに熱い歌が炸裂です。そしていきなりのハイライト「泣くだけ泣いたら」から「酒と泪と男と女」と来る激渋スロウ2連発。速水清司作の前者、河島英吾作の後者共に傑作ですが、レイニーウッドのザ・バンドに匹敵する素晴らしい演奏も特筆もので、バックに徹した柳ジョージのハスキー声のハモリも最高です。柳ジョージも歌ってた「祭ばやしが聞こえる」や「時は流れて」のショーケン・ヴァージョンも渋くて素敵です。2枚目後半のハイライトはBOROの「大阪で生まれた女」から、柳ジョージ作曲の「本牧綺談」の流れ。演奏・歌共に申し分無しで、魂を削ったように渾身の歌唱で迫る様にはホント震えます。他にはPYG時代の「自由に歩いて愛して」なんかも演ってます。終盤は井上尭之作の名スロウ「海鳴り」から、ストーンズの“Black & Blue”的にファンキーな「どうしようもないよ」、お馴染の「さよなら」とカッチリ締め。全体的にはソロ初期ゆえにライブながらスタジオ盤に近い比較的素直な歌唱が聴けるのも貴重です。
「松田優作が唯一、尊敬した人。テレビで見るだけでドキドキしました!」
どうしようもないよ (with 柳ジョージ、井上尭之、速水清)
showken-fun
あんなに