The Sly, Slick And The Wicked / The Lost Generation * 1970 Brunswick

見た目だけは、なんでこのジャケやねんってガッカリ度ナンバー1のロスト・ジェネレーションのアルバム。個人的にも苦手とするサイケデリックな感じのジャケで、ワケのわからん幻想的な音が出てきそうですが惑わされてはいけません。中身はしっかりバリバリのシカゴ・ソウルが堪能できるブランズウィック印。“ややこしいわっ”とツッコミたいとこですが、あまりの優秀な中身に許しちゃいます。The Chi-Litesのユージン・レコードがプロデュースで関わった激シカゴ盤(←なんじゃそれ)で、Tom Tom 84ことトーマス・ワシントンが織りなすバック・サウンドも最高の一語。もうこの辺の音は手放し大絶賛モードです。CDでは廃盤になったりで常にカタログ化されてないのが不思議な程ですが、内容メチャ充実のソウルフルな1枚です。
まずNaSのサンプリングでも話題となったタイトル曲「The Sly, Slick And The Wicked」は、いきなりノック・アウト間違い無しとなる傑作スロウ。いなたいバック・コーラスにローレル・サイモンの男気満載のヴォーカルが乗っかる、マジたまらん展開。イントロから胸ときめきます。このアレンジから派生したと思われるJerry Butler & Brenda Lee Eagerのヒット「Ain't Understanding Mellow」も必聴です。続くThe Momentsの「Love On A Two Way Street」はファルセットを効かし、またCHAIRMEN OF THE BOARDの「Give Me Just A Little More Time」はゴスペル・スタイルを活かしたスタイルとカヴァーもナカナカ。The Delfonicsの「Didn't I Blow Your Mind」も曲自体がエエっつうのもありますが、良い出来です。それより、これぞシカゴ・ソウルってな音がたまらんグレイト・ミディアム「You're So Young But You're So True」や、Charles Wright & The Watts 103rd Street Rhtyhm Bandの名曲カヴァー「Love Land」なんかは、かなりの高得点。タイロン・デイヴィスなんかが歌ってもバシッとはまりそうなシカゴ度満点の力作です。バックサウンドもイケてる、まったりスロウでは「Sorry I Can't Help You」、「Someday」と佳作連発。ワルツのリズムで意表を突く「Wasting Time」なんかも相当なカッコよさです。最後を飾るムーディなバラード「Wait A Minute」もコーラスにかかる奇妙な後追いディレイがピシャリ決まる逸品。ヴォーカル・ワーク&弦アレンジの絡みも素晴らしいですが、ベース&ドラムのセンス良いコンビネーションも特筆モノ。
「歌良し、曲良し、サウンド良しと近江商人みたいなアルバム。これやからソウルはやめられん~」
THE SLY SLICK AND WICKED
You're So Young But You're So True
ナルダン珈琲店主
ロスト・ジェネレーション!!