A Quick One / The Who * 1966 Reaction

モッズな音楽っていうと真っ先に思い浮かぶThe Who。いまやロジャー・ダルトリーとピート・タウンゼントだけが生き残って頑張ってますが、初期のテイストはやはり最高です。近年、脅威のブンブン・ベーシストだったジョン・エントウィッスルが亡くなって替わりのベーシストが来てリハーサルを繰り返す中、何回演ってもシックりこなかった面々。そして、もうヤケクソになってその新ベーシストが無茶苦茶弾きまくったら「やれば、できるじゃないか」とご満悦でピートがGoサインを出したという逸話。マジ最高です。そんな事で、普通のベース・プレイではThe Whoの曲は物足りません。ジョンのスリリングなベース・プレイがあってこそです。1st同様、ハチャメチャなくらいオープン・ハイハット鳴りっぱなしのキース・ムーンのドラムも迫力のこの2nd。不良っぽさは1stに譲るものの、大半がメンバーのオリジナル作となった過渡期の力作です。
そんな事でまずは何といってもオープニングの「Run Run Run」。大傑作であったデビュー・アルバムをフェイバリットとする人なら間違いなしに1等賞となるグレイト・ビート・ナンバー。引っ張ってるのは正にジョンの存在感抜群のベース・プレイでイントロから鳥肌モンのカッコよさです。当時流行の「ハイヒール・スニーカーズ」風のビートを劇的に尖がらせたビートに加え、それに対抗するようなロジャーの不良っぽいヴォーカル。最高です。そしてモータウン・カヴァーとなるマーサ&ザ・ヴァンデラスの「Heatwave」。こちらもグレイトな疾走感がたまりません。1stの流れで聴けるモッズな選曲がイカしてます。他での注目は、後にポール・ウェラーのThe Jamもカヴァーしたピート・タウンゼントの曲作りが冴える「So Sad About Us」や、驚異のキース・ムーンのドラミングに唖然とする「Cobwebs And Strange」あたり。タイトル・トラックの「A Quick One」も力作で、これから続く大作主義の予兆的逸品です。ココでの演奏もなかなかですが、劇的に素晴らしいスタジオ・ライヴの“Kids Are Allright”のサントラや“Rock'n Roll Circus”が必聴。破壊力抜群の凄まじきアンサンブルで、嘘かホンマか知りませんが主役ストーンズを食うパフォーマンスをしたせいでミックが映像作品“Rock'n Roll Circus”自体をお蔵入りさせたという都市伝説まで残しました。勿論ジョン・エントウィスルのテーマ曲みたいな「Boris The Spider」も収録です。そして現行CDは御馴染の曲数倍増版。モッズ・テイストな「Batman」や、TV番組テーマ曲みたいな「Bucket T」など楽しいですが、中でも最高なのはビーチ・ボーイズで有名な「Barbara Ann」。キース・ムーンの趣味みたいですが、このザ・フーの激しいヴァージョンも素晴らしい出来。コーラスもバッチリきめてます。これまたジャムがカヴァーした「Disguises」もイケてます。他では、デモみたいな「Happy Jack (Acoustic Version)」や、「My Generation / Land Of Hope And Glory(TV Live)」も入ってますが正式版がやっぱり最高です。
「60年代半ばにして、このパンク感。奇跡の4人組と言っていいフォーメーションで個性抜群!」
Run Run Run
Heatwave
So Sad About Us
リュウ
No title