Good time's rollin' / 憂歌団 * 1990 For Life

あるんですね、天気予報で「猛暑」(←「晴れ」のブッチギリ版)っていう予報。梅雨が早く明けたのは良いのですが、クソほど暑く毎日グダグダです。ここは濃いものをサッパリと頂くのがオツ。関西が誇る4人衆、憂歌団です。コテコテのアコースティック・ブルースばっかのイメージですが、80年代後半はメジャーシーンを意識したライト路線や、エレキ仕様のスタイルも披露していました。本質は何も変わらん感じでしたが一部の古くからのファンには賛否両論やったこの時期、サラリと粋でお洒落な感じの憂歌団も結構イケます。実は小学校の頃に友達の兄貴が大ファンで、家に遊びに行ったら柔道と憂歌団の話ばっかされて「もう、ええっちゅうねん」と内心思ってました。というのもコノ頃の自分はゴダイゴやらツイストに興味があって、ブルースも知らず木村充揮のけったいな喋りだけが印象にあったので“気持ち悪い人等”と無視でございました。色々、音楽を知って木村氏のユーモアも理解できるようになったのは高校ぐらいになってから。憂歌団はやっぱ大人の音楽やったんすな。
さて90年代1発目の憂歌団。アレンジャー難波正司と組んだこの頃はやや洗練された感もあり聴きやすさも増してましたが、木村充揮の唄が聴こえるとちゃんと憂歌団になってるのが凄いところ。もともと器用な内田勘太郎もジャジーにブルージーにセンス溢れるプレイを披露。何といっても聴きものは冒頭の傑作「Good time's rollin', bad time's rollin'」。作詞家の康珍化と勘太郎の作品ですが、この路線も捨てたモンやないと思わせる名曲の誕生でした。木村氏のエゲつないダミ声もロマンチックに響く素晴らしき逸品で、間違いなく後期代表作の一つ。なんといってもここに収められたスタジオ・ヴァージョンが絶品で、イントロのピアノから絶妙に絡む勘太郎のギター、島田和夫のブラシと最高の瞬間が待ち受けます。さすが上田正樹と一緒に大傑作「おまえを救けにゆく」をつくった康珍化+難波正司。信頼できます。続いての普通のロックバンドみたいなアレンジの「Cry」は失礼ながらミスマッチな感じですが、レゲエ調の「オールド・サウス・ブリッジ・ロード」やボサノバ調の「サンセット理髪店」はすごくエエ感じで器用さを見せてくれます。“大阪ビッグリヴァーブルース”以降増えた完全外注のシングル曲で、名曲“胸が痛い”と同じコンビ(康珍化&羽田一郎)で書かれた哀愁スロウ「わかれのうた」でも勘太郎は存在感抜群のスライドを披露。こうやって聴くと木村&勘太郎のマジックはやはり唯一無二です。キー坊&有山や氷室&布袋と同様、最近のソロ活動を見てて“やっぱ、あの二人でないとあかん”と思っちゃいます。他も勘太郎作曲のジャジーな「おまえひとりさ」にレイドバックした「Rain」、木村作曲の昭和系メロも光る「Night Walk」と充実の内容。
「長く活動停止中の憂歌団。ぼちぼち勘太郎&木村のコンビ芸、見せておくんなはれ~」
Good time's rollin', bad time's rollin'
わかれのうた
まり
ライヴハウスの大スター