Special / The Temptations * 1989 Motown

素晴らしきシンガー、アリ・オリー・ウッドソン氏が永眠。密かに再びの本家テンプス復帰を願ってたのに残念です。テンプテーションズってのは元メンバーの分家みたいなのもあったりでややこしいですが、デビュー時からのオーティス・ウィリアムスが看板を守ってやり続けているのが本家。この本家が驚異なのは、他の昔に活躍したグループと違って現役感を持って新作もきっちり出し続けてるトコ。昔の栄光にすがらず常に新しいサウンドにもトライしてきた本家の姿勢は尊敬に値します。お馴染み“My Girl”で有名なデヴィッド・ラフィン擁するデトロイト・モータウンの第1期黄金時代、“Papa Was A Rolling Stone”を放ったデニス・エドワーズ擁するファンキーな第2期黄金時代とするなら、"Lady Soul”などのヒットを放ちブラコン~New Jack期を駆け抜けたのが、このアリ・オリー・ウッドソンをフロントに据えた第3期黄金時代。自分がテンプスを知った時もコノ時代でした。最高の塩辛ハスキーヴォイスで名曲量産でしたが、就職活動の時よく聴いてた91年作“Milestone”と並んで馴染み深いのが89年本作。リアルタイムでのテンプスを好きにさせてくれた力作でした。
注目はなんといってもクラシック・ソウルと新しい音を魅力的に融合させた立役者、バイ・オール・ミーンズのスタン・シェパードとジミー・バーナーの参画で実に素晴らしき作品に仕上がってます。タイトル曲「Special」は一連のバイ・オール・ミーンズ関連に引けを取らないムーディなミディアム。しかし当時の現役テンプスを一気に虜にさせた大傑作が「Loveline」。メルヴィン・フランクリンの低音から絶妙のコーラス・ワークにアリ・オリの押し引き抜群のリード。加えてスイングするナイスな打ち込みトラックと完璧の1曲です。一時期、こればっかアホみたいにリピートして聴いてました。他の懐メログループとは一味違うことを1発で証明するようなコノ曲で、テンプス=新作を聴くべきグループとして自分の中で図式が成立でした。アップも好調で、冒頭のファンク「Friends」やシングル曲「All I Want From You」、ラップをフィーチャーした「She's Better Than Money」など意欲的な取り組みも好感で、当時の新人グループだったテディ・ライリーのガイにも負けない若さを見せつけた「Fill Me Up」あたり最高です。本編最後で数々のカヴァーも生んだ名スロウ「Soul To Soul」は流石の風格で名曲に相応しい出来。ボートラのアリ・オリ自作曲「O.A.O. Lover」も新時代テンプスを感じさせたナイス・トラックです。やはり久々に本作を聴いてるとアリ・オリ氏が現在に繋がる“格”を保ってくれたとヒシヒシ感じます。そしてオーティスには星になっていったメンバーの為にも、生涯現役で名門の看板を守り続けてほしいです。
「現在進行形テンプスへの興味を引き寄せてくれたアリ・オリ氏。ほんまエエ音をThanks!」
Loveline
hidekichi
Ali-Ollie