An Innocent Man / Billy Joel * 1983 Columbia

夜の9時を回った電車でもアホみたいな混み具合で、こらぁたまらんと感じる東京メトロ。古都で育った私など、な~んか飲み屋以外でも夜遅くまで営業する店や24時間営業の店も多くてびっくりですが、便利なのは確か。働く人も大変やと思いますが、我がの疲れを癒すにはグッド・ミュージックに限ります。てなことでビリー・ジョエルのアルバムでちゃんと聴いた最後のアルバム。発表当時はハッピーなアメリカン・ミュージックって感じで、即お気に入りでした。後に色んな音を聴くようになって、コレがビリー流ルーツ・ミュージック探訪であったことを理解。何ともPopで聴きやすいアルバムで、いっこ前のナイロン・カーテンはなんやったんやと思うほどでした。(←アレンタウンは最高でしたが) このアルバムや、ホール&オーツの秀作、ストーンズのエモーショナル・レスキュー等で徐々にソウル指向の体質になっていったんやなぁと今になれば思います。
中身はシンプルな中にもビリー流の凝ったアレンジも散りばめられたマジ力作。マイケルのスリラー同様、何曲もシングルカットされヒットしまくってました。まずツカミからして最高の「Easy Money」。ジェイムス・ブラウン流のリズムにウィルソン・ピケットのようなシャウティング・スタイルでビリーが炸裂。今聴いても開始5秒で血が逆流します。タイトル・トラック「An Innocent Man」はあまり好きではありませんでしたがベン・E・キングを意識した感じ。そして強力ビリー流ドゥーワップ2曲の登場。アカペラのカッコよさを初めて知った「The Longest Time」に、リトル・アンソニー風という「This Night」と、絶妙の流れです。A面ラストとB面アタマの要所を締めたのは軽快なモータウン・スタイルの「Tell Her About It」と「Uptown Girl」。コレまた最高で、本作を象徴したナイス・サウンド炸裂です。PVも当時流れまくりで、今も頭に染みついた名曲。日本もココから影響下のパッチもんサウンドが蔓延となりましたが、これらのおかげでモータウンもすっかりお気に入りに。続いてはサム・クックのチェイン・ギャングを意識したという「Careless Talk」に、リトル・リチャードばりのピアノ連打も光る「Christie Lee」とゴキゲン(←古い)な音が続きます。また地味ながらビリー本領発揮の美メロがたまらんミディアム名作「Leave A Tender Moment Alone」、トロピカルな「Keeping The Faith」と後半もクオリティの高い楽曲の連打。今、聴いて感じるのは当時のトレンドであった最先端リヴァーヴサウンドやシンセを極力抑え、アナログ・サウンドに徹したってこと。故に全然、古びないハッピーな音が詰まってると再認識です。
「80年代ビリーといえば、We Are The Worldにも登場の超ビッグネーム。ブートキャンプとちゃいまっせ!」
Uptown Girl
The Longest Time
goldenblue