Call Me / Al Green * 1973 Hi

スタックスと共にメンフィスの最重要レーベル“Hi Records”。数多くのスターを輩出した名門中の名門ですが、その黄金期を築いたプロデューサーでアレンジャー、エンジニアのウィリー・ミッチェル氏が永眠。ウィリーが全盛期70年頃から送り出した、あの独特のハイ・サウンドは聴けば聴くほど虜になる素晴らしき音です。そのクールなサウンドはHip Hopにまで受け継がれ、RZAはじめ信者も大勢存在。またキース・リチャーズの1stでも傑作「Make No Mistake」を手掛けアルバムの格を一気に上げたのもウィリーでした。重厚かつ甘美でタイトなビートに乗るディープ・ヴォイスって構図には、いまだにシビれまくりです。ハワード・クライムスやホッジズ兄弟を擁したシャープなハイ・リズムに、メンフィス・ホーンズ、そしてハイの音を象徴的なものとしたザ・メンフィス・ストリングス!これらを総指揮しドン・ブライアントにアン・ピーブルズ、オーティス・クレイなどと共に数多い名録音を残してくれたウィリーにはホント感謝です。特にアル・グリーンにウィスパー唱法を叩き込み大スターに仕立て上げた功績は国民栄誉賞もの。もうアホほど名盤がありますが、ここはやはり、その功績を讃え代表選手アル・グリーンです。
本作は冒頭タイトル・トラック「Call Me」からHiの象徴的サウンドが炸裂する名盤。スタックスから流れてきた名ドラマー、アル・ジャクソンとウィリー、アルが共作したヒット作品で快調にスタートです。そしてコレがあるからたまらん甘美な世界「Have You Been Making Out O.K.」が登場。多くの女性がメロメロになったのも激しく理解する、絶妙ファルセットもピシャリはまります。同じくHiのクワイエット・エレガンスもカヴァー。全編、ウィリーとアルの素晴らしき協業が続きますが、特に後半戦は凄まじき展開。ヒット曲でもある「Here I Am」はどっしりしたハイ・リズムに力強いアルの歌ががっぷり四つで突き進む激傑作。またアル自身もよっぽどお気に入りと思われ90年代に再録音もしたウィリー・ネルソンのカヴァー「Funny How Time Slips Away」も、ストリングス&オルガンとアルの押し引き唱法が冴えわたる逸品。ハンク・ウィリアムスの「I'm So Lonesome I Could Cry」含め、こういった曲を聴くとカントリーもソウルも兄弟関係やなぁ如実に感じます。そして本作で個人的に最も好きなキラー・ミディアム「You Ought To Be With Me」が登場。もう、完璧といっていい曲で高揚するアルの歌といい、センス抜群のティーニー・ホッジズのバッキング・ギターといい惚れぼれします。最後はクールなゴスペル、「Jesus Is Wating」で締め。
「こんなセンスのええアレンジャーはそういません。数々の名作をホンマおおきに!」
Al Green - You Ought To Be With Me
hidekichi
Hi Records