It's Our Thing / The Isley Brothers * T-Neck 1969

もし番長みたいな人に“おいっ結局アイズレーブラザーズでどれが一番好きやねんっ、こっらぁ”と問い詰められたら、“すんません「It's Your Thing」です”って答えようと思ってます。なぜなら“そうか、そうか、ほな許したるわ”って言ってもらえる激傑作ファンクだからです。そんなことで、近年は親分ロナルドの逮捕やらなんやらで活動も縮小傾向のアイズレーズ。これからも内田裕也と共に最もステッキが似合うボスキャラとして、新喜劇の間寛平ばりにステッキを振り回して大暴れしてほしいところです。ここでの音はクラヴィネット炸裂の「3+3」以降の完成形アイズレーファンクとはまた違った音ですが、モータウン離脱後のファンク突入期の記念すべき1作目。ホーンを導入したイナタい音もなかなか魅力的で、共に50年代から君臨するJ.B.ファンク的なアイズリーズもかなりイケてます。
もちろんハイライトはアイズリー・ファンクの幕開けとなる殿堂入りファンク「It's Your Thing」。もうアホほどカヴァーもされ、幼きマイケルの絶唱も有名ですが、このオリジナルはホンマ絶品。もう何万回聴いても飽きないこの魔力はいまだに自分でも理解不可能です。後のファンク・ヒット連発期とは違った土着的感覚は何とも捨て難いスリリングさです。同じ構造の冒頭曲「I Know Who You Been Socking It To」も必須です。ロナルドの熱さと共に前のめりに突き進む「Somebody Been Messin'」、JBを強烈に感じる「Give The Women What They Want」あたりもファンク臭プンプンのアイズリーズ新章突入を感じさせる力作。スロウではサザンソウルも感じさせる「Save Me」も収録でこれまた秀逸。60年代終盤の空気感がまたたまらんトコです。一方、後のニューソウル的な「Feel Like The World」、「Love Is What You Make It」なんかはマッタリ感抜群のヌメヌメさがすでに萌芽してます。60年代のダンス・スタイルを踏襲した「Don't Give it Away」、「He's Got Your Love」あたりもゴキゲンですが、ベアフッティン的な「I Must Be Losing My Touch」がグレイト。ごった煮感も拭えん過渡期的アルバムですが、根底に存在するゴスペル魂で1本しっかり筋、通ってます。
「激動の時代を強靭な生命力で生き抜いてきたアイズリーズ。ほんま男前な人等です!」
It's Your Thing
ナルダン珈琲店主
同感