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音系戯言

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The Point Of It All / Anthony Hamilton * 2008 Arista

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いくら実力があっても商売にならんかったら、すぐにメジャー落ちしてしまう厳しき音楽業界。ほんまに素晴らしいアルバムやったのに1枚だけ出してインディー活動って人がほんまアホほどいます。ダウンロードミュージックの浸透で良くも悪くもエエ音楽が身近になりましたが、その影響で市場規模縮小も必至。そんな中、こんな濃いシンガーがメジャーからアルバムを出し続けているってのは稀有かつ驚異です。それがアンソニー・ハミルトン。声だけ聴くと何十年も前ならゴールドワックスくらいからアルバムだしてそうなディープ系。演歌の人みたいに“苦節何年”って感じでアルバムデビューに漕ぎつけた人だけに、この3枚目の本作が今回のグラミーにもノミネートってのは嬉しい限り。Hip Hop系まで客演するフットワークの軽さが長生きの秘訣かも知れませんが、シーンにこんな激ソウル臭を放つオッサンがおるってのは健康的でよろしいです。
 さて中身は今回もトラディショナルな南部ソウルの香りの中、今の空気もしっかり盛り込んだ充実作。といっても極端にトレンドに迎合してるわけでもなく実にええ塩梅。冒頭では70sカーティス風の緊張感がカッコええ「The News」が登場。アンソニーのファルセットもイナタさ抜群。ビル・ウィザース彷彿の朴訥ビートにダミ声ラッパーDavid Bannerが絡む「Cool」もナカナカの出来栄え。ゆったりとしたビートにIsleys風のまったりギターが乗る「Diamond In The Rough」や、サラーム・レミ印で装飾の少なさもクールな「I Did It For Sho」も好感触ですが、ハイライトっていうかアンソニーの真骨頂は間違いなく中盤に。濃厚なソウルビームを浴びせてくれる「Please Stay」はアンソニー節炸裂の生ホーンも最高の逸品。ジャック・スプラッシュ(←アリシア・キーズとかやってる人)もええ仕事してます。続くタイトル・トラック「The Point Of It All」はディアンジェロも感じるスロウ・ビートでこれもじっくり聴かせます。後半戦は新機軸ともいえるゴスペル的なコール&レスポンスも登場の「Prayin' For You / Superman」、こんな普遍的なバラードもやるんやと感心した美メロ度高しの「Her Heart」と続きますが、本編ラストの「Fine Again」は特に光ってます。大味ながらアンソニーの歌心にやられます。ボートラも無視できん充実具合で、淡々としたドラム・ループも心地よい「She's Gone」、映画アメリカン・ギャングスター挿入歌でダイアン・ウォーレン作「Do You Feel Me」とポイント高し。
「今やシーラカンス状態のリアルソウルマン。しっかり保護していかなあきまへん!」

Anthony Hamilton - Please Stay


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