Hail Hail Rock 'N' Roll / Chuck Berry * 1987 MCA

音楽関連の映画では「ラスト・ワルツ」と双璧といえる、チャック様の「ヘイル!ヘイル!ロックン・ロール」。もう20年以上前の作品ですが、ほんまおもろい映画で全音楽ファン必見です。60歳のバースデーコンサートを盛大に開催しようと、チャックの申し子の一人である男キース・リチャードが音楽監督として立ち向かうというあらすじ。人間不信のオッサンを何とか盛り上げようと四苦八苦するキースが紳士に見えてしまうという凄い内容です。途中に挿入されるビッグ・ネームのチャックに関する逸話も実に興味深いモノ。例えばブルース・スプリングスティーンの話では、無名時代幸運にもバック・バンドを務めるもリハも無しで本番直前に現れ、いきなりライブ開始って無茶苦茶な話。でもチャックのバックが出来たって喜んで証言する様に救われます。R&Rをビジネスと割り切っているチャックは、経費負担が大きい自前のバンドを持たずにギター1本持ってロードに出て地元の即席バンドと演る為、こんなことは日常茶飯事ってこと。「俺様の曲など、知ってて当たり前」なのでしょうが、なんぼ3コードのR&RでもKeyぐらい言ってくれないと困ります。しかしながらビジネスマンとして徹底したチャックがココに。そもそもエリック・クラプトンが「最初、白人だと思った」と回顧するほど、しっかりマーケットの大きい白人層を見据えた曲作り、陽気なアメリカンを描いた詞など流石です。しっかりビートルズ、ストーンズと虜にしたんですから。でも印税などの支払いが不当であった事や音楽の搾取など白人至上だった当時の社会を根に持つところなど、ロックン・ロールのオリジネイターとも言われる偉大なチャックが何故にここまで偏屈になったのかが垣間見れます。しかし本当は素晴らしいバックがついてこそチャックの音楽はココでの鉄壁バックで一層輝きます。それは今も残された色んなバック・バンドがついたしょーもない演奏の映像記録とかを見れば明らか。本作で貴重なのはデビュー時から数年間共にした故ジョニー・ションソンの素晴らしいピアノが共に聴けること。やっぱコノ人がいてこそ。そして特筆すべきタイム感でビートを構築するスティーヴ・ジョーダンのドラムも賞賛もの。コンサートに向けたリハで一見どうでもいいようなフレーズに拘りキースにいちゃもんをつけ、自分がボスである威厳を示す「Carol」イントロ弾きなおしなどの名場面が続出。そんな偏屈なオッサンながら本編のステージではやっぱカッコええのです。憎たらしいくらいに。
CDではダイジェストですが「Maybellene」から「Memphis, Tennessee」、「Roll Over Beethoven」などクラシックを惜しみなく披露。お楽しみのゲストはChessで同じ釜の飯を食ったEtta Jamesが「Rock And Roll Music」、オールディーズ大得意のLinda Ronstadt 「Back In The U.S.A.」、ブルースマンRobert Cray 「Brown Eyed Handsome Man」、御大Eric Clapton 「Wee Wee Hours」、ジョンの息子Julian Lennonが「Johnny B. Goode」と楽しさ満載。
「次は米寿祝いで、キースとの親子喧嘩を見たいもんです!」
Brown Eyed Handsome Man & More
Keith Richards Inducts Chuck Berry Rock n Roll Hall of Fame
まり
これは見てないです