In Yo' Face! The Roots Of Funk Vol. 1/2 / Various Artists * 1994 Rhino

良心的再発レーベルといえばやっぱりRhinoレコーズ。アトランティック関連の再発で一気にソウル・ファンの信頼を獲得しましたが、古い音でもしっかりリマスターしてくれる丁寧な仕事っぷりは嬉しいところ。History Of Funkシリーズでファンクの美味しいところもレーベルを越えて最良の形でまとめあげてましたが、番外編のこちらはファンク誕生前夜といえるファンキーなソウルをコンパイル。これらの音があったからこそ70年代のファンク天国があったとも言えるゴキゲンさんな音で溢れかえってます。
冒頭を飾るのはDon Covay & The Jefferson Lemon Blues Bandの66年リリース「Sookie Sookie」。アルバムの主旨をしっかり提示するファンキーな60sソウルでめちゃクールです。オーティス&カーラで有名な「Tramp」もLowell Fulsomのオリジナルで収録でファンクの源流がブルースにあったことを窺わせます。ウィルソン・ピケットのヒット「Funky Broadway」もDyke & The Blazersのオリジナル仕様っていう凝りよう。そのWilson Pickettはハードなゴスペル唱法にシビれる激傑作「Soul Dance Number Three」が選出ですが、アトランティック系では大傑作Archie Bell & The Drells 「Tighten Up」なんかも収録。名門The Watts 103rd St. Rhythm Bandもクールなインスト「Spreadin' Honey」、フィリー発のThe Fantastic Johnny C による軽快な「Boogaloo Down Broadway」、フェイセズのThree Button Hand Me Downの元ネタと思われるごきげんシャッフルSoul Brother Six 「Some Kind Of Wonderful」と憎いチョイス。ニューオリンズ勢ではLee Dorseyがミーターズを従えた「Everything I Do Gohn Be Funky」とゆるめなのもありますが、より鋭角性を増した幾何学的グルーヴThe Meters 「Cissy Strut」はやはりグレイト。レディ・ソウルTami Lynnの「Mojo Hanna」なんかもナカナカです。またマイアミのエロおやじClarence Reidはアイズリーズ“It's Your Thing”に触発された「Nobody But You Babe」、デトロイトからはThe Fabulous Counts「Get Down People」に、名曲I'd Rather Go Blind を輩出したFugi 「Mary Don't Take Me On No Bad Trip」と各地のアーシーなファンキー・ソウルをバランス良く収録。中でもスティーヴ・マンチャの声にシビれる8th Day 「She's Not Just Another Woman」はInvictusの名作です。他にもDavid T. Walkerも参加のPaul Hemphrey & His Cool Aid Chemist 「Funky L.A.」など渋いところも収録。Chess時代が素晴らしすぎるLaura LeeのHot Wax録音「Crumbs Off The Table」なんかのファンキー・ソウルもこの流れで、すんなり耳に入ります。そして最後は女傑Betty Wright 「Let Me Be Your Lovemaker」で迫力の締め。
「やっぱ源流の水は美味しいと確認できる名編集。まさに温故知新のナイス・グルーヴ!」
Lowell Fulson - Tramp
リュウ