Live At The BBC / The Beatles * 1994 Apple


発売当時、かなり衝撃だったビートルズの'65年までの初期ロックン・ロール集。リーゼントが似合いそうな1stからフォーセールくらいまでの単純明快なR&Rが好きな方は、必携の驚愕録音絵巻です。公式録音されなかったデビュー前後にメンバー自身が好んで演奏していたロックンロールやR&Bカヴァーがジャンジャン収録されている(正式盤では避けられていたエルヴィスのカヴァーも!)ってのに加え、ラジオ用録音とはいえ百戦錬磨で鍛えられたグレイトなライブ・バンドとしての片鱗がしっかりうかがえる点は最高。特にジョンの熱くセクシーなヴォーカルが既に熟成済みなのは驚異です。なんせ、こんな音源がちゃんとした形で出るとは夢にも思ってなかったので、世界中のロックンローラーが万歳三唱した強力盤です。
まずお楽しみはオリジナル盤収録とは雰囲気が少し違ったラフなスタジオ・ライブ。番組オープニング用の替え歌「From Us To You」、大傑作「I Saw Her Standing There」、「Thank You Girl」、ストーンズに贈った事で有名な「I Wanna Be Your Man」、哀愁名作「All My Loving」、迫力満点の大ヒット「Ticket To Ride」と荒削りな演奏が逆に新鮮な優秀オリジナルソングは必聴!お馴染みのカヴァーも、正直2万回は聴いたジョンのR&Bヴォーカルが最高すぎるシュレルズの「Baby It's You」、ピアノ無しヴァージョンも渋いミラクルズのこれまた大傑作「You Really Got A Hold On Me」、ポールお得意のリトル・リチャード「Long Tall Sally」に「Kansas City」、ジョージが歌うチャック・ベリー炎のドライヴィングナンバー「Roll Over Beethoven」にジョンお得意の「Rock And Roll Music」、相性抜群のカール・パーキンス・カヴァー「Everybody's Trying To Be My Baby」・「Matchbox」に加えなんとジョンがVoをとる大好きな「Honey Don't」、公式テイクより荒々しさがカッコええラリー・ウィリアムスの「Slow Down」、ノリ一発の「Dizzy Miss Lizzy」と必聴テイクてんこ盛り状態。
そして大注目は正式には未発表だったルーツが垣間見れるカヴァーの数々。御大エルヴィス・プレスリーは厳密には孫カヴァーながらSun時代の「That's All Right」、「I Forgot To Remember To Forget」に、リンゴのドラム爆裂の「I'm Gonna Sit Right Down And Cry」と収録。レイ・チャールズ「I Got A Woman」もエルヴィス版を下敷きにしたR&Rな演奏。ジョンが大好きだったというR&Bシンガーのアーサー・アレキサンダーの「A Shot Of The Rhythm And Blues」と「Soldier Of Love」あたりは極上。リッチー・バレットって人の「Some Other Guy」も激熱のR&Rですが、ジョンお得意のチャック・ベリー「Too Much Monkey Business」に「Carol」、「Johnny B. Goode」、「Memphis, Tennessee」、「Sweet Little Sixteen」、「I Forgot To Remember To Forget」はマジ最高。たまらんです。ジョニー・バーネットの「Lonesome Tears In My Eyes」も秀逸です。ポールVoではカール・パーキンス「Sure To Fall」、ジョディマーズ「Clarabella」、チャン・ロメロ「Hippy Hippy Shake」とある中、一番ハマってるのは何といってもリトル・リチャード「Lucille」に「Ooh! My Soul」。またジョージVoではやっぱカール・パーキンス「Glad All Over」。他もコースターズ「Young Blood」、バディ・ホリー「Crying, Waiting, Hoping」なんかもありますが、ポールと歌ったクリケッツの「Don't Ever Change」も出色。とにかく垂涎のカヴァーがこれでもかと収録です。そして最後はデビュー曲「Love Me Do」で締めるってな見事な構成。まだ足らんわいって人はシングル「Baby It's You」での本作未収録「I'll Follow The Sun」に「Devil In Her Heart」、「Boys」までいっといてください!
「高い海賊盤を眺めるだけだった人もジャンプして喜んだ録音集。欲張りですが続編も聴きたい~」
リュウ