Expressions / 竹内まりや * 2008 Moon

あちこちで大人気の竹内まりや待望のオールタイムベスト盤。すでにデビュー30周年というのも驚きですが、50歳にしてこの美しさもたいしたもんです。自分が小学生の時にTVで初めて見た時は、洋楽っぽいアイドル歌手って印象でベストテンなんかでも可愛さ満点でした。それから結婚&出産なんかでTV出演も控えるようになり個人的にやや疎遠になりましたが、大人になってバンドで演ることになったりカラオケで常に誰か歌ってたりで何かとまりや嬢の音楽には接してたような感じです。何といっても魅力はデビュー時にすでに保持してたシティ・ポップス然としたオールディーズやアメリカン・ポップスの香りがする、まりや嬢の歌声に尽きます。
さてこの3枚組。30年だけあってえらいヴォリュームです。好み曲をチョイスして聴いてますが改めてまりや嬢の魅力を再認識しまくりです。今やフリーソウル的に聴こえるデビュー曲「戻っておいで・私の時間」で最高の幕開け。最も好きなRCA女子大生時代の録音が多い1枚目はやはり格別です。可愛いメロも最高でキリンレモンCMを思い出さずにいられないブレイク曲「ドリーム・オブ・ユー」も最高ですが、何といっても「September」に「不思議なピーチパイ」です。キュートなまりや嬢の魅力が凝縮されたこの2曲の大ヒットはいまだにセットで一番のフェイバリット。この頃の松原みきなんかも手掛けてた林哲司氏の仕事っぷりも絶品です。ジャジーにドゥーワップする「五線紙」、TOTOメンバー参加のAOR風「Morning Glory」らもグレイト。至極のポップスと言いたいコニー・フランシス絶妙カヴァー「ボーイ・ハント」、アマ時代からの恩師らしい杉真理氏の名スロウ「Never Cry Butterfly」、旦那達郎氏とのデュエットのエヴァリーBrosカヴァー「Let It Be Me」と最近の録音も上手く織り交ぜ聴かせます。結婚後中心の2枚目はアン・ルイス版も素晴らしかったロッカ・バラード「リンダ」でスタート。この手の曲は大好物ですが、このセルフ・カヴァーもなかなか。この辺りからソングライターとしての才能も爆裂です。ビーチ・ボーイズを思い出さずにいられない「もう一度」、自分もバンドでもよく演った「本気でオンリーユー」、中山美穂へ提供した大ヒット曲「色・ホワイトブレンド」などの黄金のアメリカン・ポップス彷彿のフィル・スペクター・サウンドも悶絶必至。サウスの中西康晴氏参加も嬉しいシティ・ソウル「プラスティック・ラブ」はファンクも感じる最高のグルーヴ。マイナー・キーのメロドラマ風は正直苦手ですがこの辺りは抜群です。90年代以降円熟期の3枚目ではウエスト・コースト風バンドサウンドにのって夫婦愛をほのぼの唄う「家に帰ろう」から、同僚女子にも大受けだった「純愛ラプソディ」、キムタクの連ドラで印象的だった名スロウ「カムフラージュ」、その木村拓哉が驚き参加の「今夜はHearty Party」と打ち込みサウンドでの相性の良さもバッチリ披露。タイアップソングの女王として耳馴染みある曲の雨嵐です。近作で絶賛の嵐だったDenimセッションからサザン原由子参加の黒いグルーヴも光るシングル曲「チャンスは前髪」、キャロル・キングをも想起させる「人生の扉」、そして最新曲で初期のグルーヴを2008年に見事昇華させた「幸せのものさし」も嬉しい収録。こうやって聴くと全編で最高のアレンジを施した夫・達郎氏の手腕も流石です。
「売れて当然の究極ベスト。こういうのが売れるシーンも捨てたもんやないです。」
プラスティック・ラブ
まり
まりやさんはですね