Gumbo Ya-Ya / Various Artists * 1988 P-Vine

学生時代から長年お世話になってる愛聴のニューオーリンズ・バイブル。2005年のハリケーン“カトリーナ”の水害が記憶に新しいところで未だに地元に暮らす人々の生活は完全復興となってないようなのが気がかりですが、その独自性豊かな音楽の数々はいつの時代も人々を魅了するこの土地が誇るべき素晴らしい文化であることは永遠です。この三日月型のクレセント・シティが送り出した優秀な音楽をコンパイルした盤は数多ありますが、基本中の基本となる親しみやすい60~70年代の名曲をまとめた教科書みたいな1枚です。
中身はさしづめアラン・トゥーサン作品集といった趣きで、全ての音楽ファンにオススメです。トップを飾るJessie Hill 「Ooh Poo Pah Doo」は日本でもおなじみの古典。ルーファス・トーマスや上田正樹もガンガン演ってました。いかつさ満点のレスラー体型でヨーデル・ヴォイスを奏でるAaron Nevilleのデビュー曲 「Over You」、Ernie K-Doeのノベルティ・タッチで大ヒットした「Mother -In-Law」と重要曲が連なります。“サムシング・ユー・ガット”や“ダンス天国”のオリジネイターChris Kennerは「I Like It Like That」、ご陽気にいきまひょとかますLee Dorseyの1stヒット「Ya Ya」など特有のノンビリ感もたまりません。またチェアメン・オブ・ザ・ボードで活躍するジェネラル・ジョンソンのThe Showmenのデビュー作「It Will Stand」、ストーンズの“フォーチュン・テラー”でも有名なBennie Spellmanのオージェイズでも知られる「Lipstick Traces」、リトル・リチャードと双璧だったらしい派手な兄ちゃんEskew Reederのワイルドな歌唱が光るスロウ「I Waited Too Long」、ゆったりしたグルーヴがたまらんRaymond Lewisの「I'm Gonna Put Some Hurt On You」、暖かいArt Nevilleの声が心地よい「Skeet Skat」など気になっとった曲が聴けたこのコンピには感謝しまくりでした。そしてニューオーリンズの歌姫といえばこの人Irma Thomasは初期ヒット「It's Raining」、御大Allen Toussaint自らが歌った素朴な「Poor Boy Got To Move」、テンポも落とした泥臭さ満点のAlvin Robinson版の名曲中の名曲「Something You Got」、トラディショナル改作ながらこの人等が知らしめたDixie Cupsの「Iko Iko」、ウォーデル・ケザークの名仕事で滅茶苦茶カッコええRobert Parkerの大ヒットジャンプ「Barefootin'」とニューオーリンズ・クラシックの連打も圧巻。50年代から活躍する重鎮ピアニストHuey Smith & The Pitter Patsの「Bury Me Dead」、ソウルフルな歌唱でストーンズの“Cry To Me”も歌ってたBetty Harris入魂スロウ「Nearer To You」、褐色のカナリアことJohnny Adamsのグレイト極まりないソウルフル・ヴォイスが炸裂する代表曲「Reconsider Me」と濃ゆ~い曲も充実。後半戦もネヴィル兄弟末っ子でミーターズがバックを務めるCyril nevilleの最高激ファンク曲「Gossip」、そのThe Metersのニューオーリンズ・ファンクの代表曲でもある「Chicken Strut」とファンク度が増す構成も見事。最後も大御所Earl Kingがミーターズと共に吹き込んだファンキー傑作「Street Parade」で最高の締め。
「音楽ってその字の通り“楽しむモン”ってことを、肌で感じさせる名曲集!」
Alvin Robinson - Something You Got
ナルダン珈琲店主
おおーっ!!