Rock Therapy / Stray Cats * 1986 EMI

最初、日本とイギリスでしか受けいれられなかったネオ・ロカビリーの雄、ストレイ・キャッツ。80年代前半に激グレイトアルバム連発で一気に本国アメリカでも大ブレイクしてましたが、仲違いなんかで即行解散。各々メンバーはソロ活動となりほんまにガックリでしたが、解散してまもなく知らぬ間に何のプロモーションも無しにひっそり出たのがこのアルバム。「言えよ~」ってブライアン・セッツァーに言いたいくらいでしたが、契約の都合上でやむを得ずプチ再結成して出したアルバムのようでした。3枚のオリジナル・アルバムはベタ惚れでしたので出すのを知ってたら即買いでしたが、情報源も少ない高校時代。不覚ながら暫くしてから発見し聴くに至ったのですが、相変わらずのカッコ良さで、この数年後の華々しい本格再結成の“つなぎ”としても重要なアルバムです。大半がロックン・ロール・クラシックのカヴァーですが、とてつもなくカッコええ仕上がりです。肩の力抜いたような感じがまたたまりまへん。
1発目から本作の格がグググッと上がること必至のアルバム・タイトルともなったジョニー・バーネット・トリオのグレイト・ロカビリー「Rock Therapy」が登場。最初に聴いたとき、あまりの嬉しさに当時組んでたバンドをロカビリー・バンドにしようと思ったほどでした。また震えるほどカッコええのがジーン・ヴィンセントの「Race With The Devil」に、バディ・ホリーの「Looking For Someone To Love」の連続攻撃。たいして気合も入ってないのに、このカッコ良さは何なんやと思った余裕の仕上がり。しばらく一緒に演ってなかった筈なのに息ぴったりの間合いは「さすがでんなぁ」としか言いようのないグレイト・トラックです。また後半もチャック・ベリー「Beautiful Delilah」に、チャーリー・フェザーズ「One Hand Loose」と絶妙のカヴァーで他のネオロカ・バンドとは格の違いを感じる出来。攻撃的なスネアにブライアンのバカテク・ギターも炸裂の「I'm Rocker」や、アコギも使って豊かにスウィングする「Change Of Heart」とネオロカ王者の貫禄も見せつけます。またバンジョー炸裂のブルー・グラスなオリジナル「Broken Man」も懐の広さを見せつけた秀作。ただ古いだけやないSomething Newと共に世界中を魅了した3人組のアンサンブルにはココでも脱帽です。大ブレイクの後のプレッシャーから解き放たれたような開放感が見事に奏功してます。
「この数年後、パワー全開の名作“Blast Off”へ。スリムだったブライアンがカッコ良すぎでっせ」
Rock Therapy
Race With The Devil
リュウ