The Motown Anthology / The Elgins * 2007 Motown

以前から60'sモータウン系のコンピレーションに数少ないヒット曲がたまに収録されていたThe Elgins。なかなか魅力的な声で、ヒッツヴィルサウンドに相性もよろしい紅一点女性ヴォーカル Saundra Mallett(←なかなかのべっぴん)が気になっていたので嬉しい単体アンソロジーでした。ライナーによると唯一のアルバム「Darling Baby」丸ごと収録&グループ初期の別名義曲、Saundraソロ曲とまさにElgins集大成的内容のお買い得盤となってます。このグループにどれだけ需要があるのか疑問ですが、モータウンにはボビー・テイラーのようにメジャー組以外にも劇的に素晴らしい人がいたりするので「こうやって組まれるということは、知っとけという事やな」と解釈して聴いてみました。
まずは1966年の前述アルバムから12曲。H-D-H作の王道モータウン・スタイルが満喫できます。代表曲「Heaven Must Have Sent You」や「Put Yourself In My Place」もなかなかですが、スロウの「I Understand My Man」などは出色の出来。カヴァーもんも多く収録で、同僚であるマーヴィン・ゲイの「How Sweet It Is」なんかは実に好感触です。男性ヴォーカル Johnnyによるアトランティック系カヴァーも興味深い内容で、パーシー・スレッジの「When A Man Loves A Woman」やウィルソン・ピケットの「634-5789」などやや軽めでまあまあ。やはりSaundra嬢の溌剌ヴォイスが光るラスカルズ「Good Lovin'」、ピケット「In The Midnight Hour」はええ感じです。以降はベリー・ゴーディにちゃんと出してもらえんかった未発表曲が収録。Johnnyの熱い歌が聴けるインプレッョンズ「For Your Precious Love」やJ.B.の「It's A Man's Man's Man's World」、ジミー・ラフィン用の曲だった「That's The Night The Love Died」、甘酸っぱいスロウ「It's Been A Long Long Time」、「All For Just lovin' You」など聴きもの多し。中でも後任女性ヴォーカルらしいYvonneって人の歌うリズム・ナンバー「My Love For Your Love」、「Life Can Be Beautiful When You're In Love」は他のモータウン・クラシックと比較しても決して見劣りしない傑作ノーザン。また60年代初期にThe Downbeats名義で出されたものでは、ドゥーワップ風の「Your Baby's Back」や溌剌ビートの「Request Of A Fool」などハンク・バラードあたりを彷彿させるスタイルでなかなかです。そしてSoundraのソロ名義は初期モータウン・サウンドに乗ったダンス・ナンバー中心。中でもThe Vandellasが合体した「Camel Walk」なんかは厚いコーラスも効果的などっしりビートが最高です。
「しかしデトロイト時代のモータウンはごっつい魔力があります。B級やと侮ったらエエのん聴き逃しまっせ~」
Put Yourself In My Place
ナルダン珈琲店主
流石!!