The Animals / The Animals *1964 EMI

最初に聴いたとき、あまりの衝撃に頭がクラクラした人達。無論、存在感抜群の圧倒的なスタイルで威圧するエリック・バードンのVoにまずやられましたが、アラン・プライスの奏でる絶妙のオルガン中心の鍵盤の響きにも一気に魅了されます。TVで観た「朝日のあたる家」のブルージーでカッコ良さ満開のバードンの叫びは鳥肌モンで、同時に目つきのふてぶてしさにも惹かれまくりでした。当時、アホみたいにシングルを買っていた兄貴は当然コレも購入。カップリングの「Boom Boom」も即気に入り、聴かなあかんグループリストにすんなり仲間入り。ストーンズの初期なんかと同様、その勢いと同居する黒っぽさに大人の魅力を感じたもんです。そのアクの強いVoは何とも個性的でスティーヴ・ウィンウッド擁するスペンサー・デイヴィス・グループ、ヴァン・モリソンのゼムと共にUK発のR&Bグループでも一際輝いた存在です。当時のグループでも、カフェで流れても違和感の無いポール・マッカートニー辺りの声と違い、珉珉の餃子くらいに強烈なその音は一度聴いたら忘れられないもんです。日本でも上田正樹やもんたよしのり等、リスペクトする人が多いバードンですがポップな路線からは違った渋さ満開のそのサウンドは男気のある人ならまず惚れ込む筈です。
さてこの記念すべき1st。敬愛する米国R&Bのカヴァーが殆どの真っ黒け盤ですが、数年前に出たヒットシングルなんかを追加した得用盤は初期の魅力を凝縮していて最高です。1発目から「The Story Of Bo Diddley」で語り中心の渋いバードンのVoがボ・ビートにのってグイグイ迫ります。チャック・ベリーの「Around And Around」、「Memphis Tennessee」やラリー・ウィリアムズの「She Said Yeah」などストーンズとカヴァーの趣味も似てますがエレピを中心に据えたアレンジで、より鋭角的に迫ります。バンド名同様、荒々しく迫るリトル・リチャード「Girl Can't Help It」にファッツ・ドミノ「I've Been Around」、「I'm In Love Again」とニューオリンズ産もしっかり消化。お得意のジョン・リー・フッカーは3曲も取り上げ「Dimples」、「I'm Mad Again」とブルース色も濃いですが、中でも「Boom Boom」はバードンの図太いVoもハマリまくりの絶品で興奮間違いなしです。しかしこんなブルージーで激渋な演奏を聴いてると映像で見る女の子キャーキャーの図は、ちょっと信じられません。勢いというのは凄いもんです。でも追加収録のシングル曲はそれなりにキャッチーで納得です。ポップさとワイルドさが同居したデビューシングル「Baby, Let Me Take You Home」、代名詞となるモンスターヒットであるブルージーな傑作「House Of The Rising Sun」、乱暴にドライヴする「F-E-E-L」、そして本編収録の「The Right Time」も素晴らしいレイ・チャールズカヴァーで後半はアイズレーズのシャウトへなだれ込む展開が素晴らしい「Talkin' 'Bout You」など耳釘付け状態の名演がバンバン収録。
「女の子ウケなど考えなかったであろう渋さ満開の潔さが最高です。ほんま男の中の男ですわ」
House of the Rising Sun
Baby Let Me Take You Home
リュウ