The Road Goes On Forever / The Allman Brothers Band * 1975 Mercury

昔からおせっかいな人は何処にもおりますが、そのおせっかいが後々自分にとっては良かったってこともよくあります。自分が大学の頃、いつも使うスタジオに常に居座ってた隣の大学のOBドラマーでクマさんって人がおりました。そのクマさん、何が凄いのかもうひとつよう分からんかったのですが、皆が異口同音に発する「あの人は凄いんや」という言葉が先走り、自分の中でも知らぬ間に凄い人になってた「凄い人」です。ドラムが凄かったのか、態度が凄かったのかは今もって謎ですが、例えば自分の大学の宴会でもないのに勝手に来て座の真ん中で仕切ってるところなど凄さ抜群でした。そのクマさん、我々のバンドを見て多少なりとも私の稚拙なギター・プレイも気に入っていただき何かと指導してくるようになります。そこで頼みもしないのに「コレはええぞ。絶対見とけ」とか言いながら、無理矢理貸されたのがオールマンブラザーズのビデオやら何やかんやです。最初借りてほったらかしで何も見てなかったのですが、会う度に「どうやった。ええやろ」とか細かい感想を求められるもんですから、渋々飛ばし飛ばし見てました。なぜなら泥臭い長尺の演奏主体のバンドっていう先入観がありまして、クリーム同様のめりこむことはまず無いと決め付けてたからです。しかし何度か見てると知らぬ間にスッカリその魅力に取り付かれ、前から知ってた名曲「Rumblin' Man」以外にもカッコええ曲満載やと気づかされました。それから色々聴きましたが、ライブ等は身震いするほどカッコ良さに満ち溢れてます。
そしてコチラの非常に横着極まりないベスト盤ですが、70年代半ばにリリースされたものが新世紀になって増補改訂リマスターとなって、曲数も一気に増えた徳用盤で横着者には大推薦です。泥臭いブルース色濃いハードな演奏とカントリーロック的な演奏が程よくブレンドされ一丸となって迫る様は迫力満載です。1枚目は天才ギタリスト、デュアン・オールマン存命中の名作が存分に収録です。ライブ定番の「Black Hearted Woman」、「Dreams」、「Whipping Post」など外すことが許されない名演が収録。グレッグ・オールマン作のバンドの方向性を明確に示す大傑作の数々です。フィルモア・ライブからも収録ですがコチラは単体マストの必聴作で「In Memory Of Elizabeth Reed」や「Hot 'Lanta」、「One Way Out」などマジでしょんべんチビります。また2枚目のデュアン亡き後の発表作中心ですが、生前のデュアンとベッツのコンビの名演も収められたEAT A PEACHからの「Blue Sky」や「Melissa」などのレイドバックしたスタイルは聴きモノです。新たにディッキー・ベッツが前に出てきたバンドもえげつなく最高です。今やストーンズで有名なチャック・リーヴィルも加わったメンバーで録音された「Jessica」は借してもらったビデオでもオープニングで演奏されてた軽快なインストで大傑作ヒット「Ramblin' Man」同様にカントリータッチの曲調がたまらんカッコ良さ。ファンキーにブッ飛ばす「Southbound」も文句無しの傑作で震えます。新体制でのライブ「Come And Go Blues」でもアンサンブルの素晴らしさにブチのめされます。その後、バンド内亀裂で集合離散を繰り返しますが全盛期同様の充実を感じる'79年の「Crazy Love」や「Can't Take It With You」あたりベッツの曲作りも絶好調で決して看板を汚すことはありません。
「クマさんのおせっかいが無ければ、多分スルーしてたバンド。おせっかいも無視できませんな」
Allman Brothers - Jessica
Allman Brothers - Ramblin' Man
まり
おせっかいに感謝ですね