この熱い魂を伝えたいんや / 上田正樹とSouth To South * 1975 burbon

我が街、京都をルーツに持つ人で最も誇れる人。それは森光子でもブラックマヨネーズ(大好きですが・・)でもありません。それは間違いなくキー坊こと上田正樹であります。日本人アーティストのライブであんなに陶酔できたのはサウス・トゥ・サウスが初めてでした。以前、ジュエリーの仕事でキー坊のディナー・ショーにも携わることができましたが、You Are So Beautifulなんかを紳士に決めるカッコ良さはセレブな客層も大満足するエンターティナーぶりで感動しました。でも個人的に大好きなのは水を得た魚のように本領発揮となるのはサウスの面々と合体したときです。最近出た上田正樹自叙伝「戻りたい過去なんてあらへん」は当時の心境や裏話が赤裸々に綴られています。なぜサウスが短命であったのかとか、最終章で語られるこのメンバーへの深い愛情など大変興味深いものでした。有山じゅんじとの固い絆や、正木五郎の解散後の大物歌手との仕事でつい「しょーもな、この曲」といって1千万のギャラをフイにしてキー坊と乾杯した逸話など最高です。レコードではわかりませんがMC時にボケつっこみもしっかりありながら、演奏は強靭にファンキーでしかも上手いっていうのがまたカッコいいです。サウスは再結集時しか実体験は無いですが、70年代当時出たこのライブは自分も演奏経験のある芦屋ルナホールでの収録となる親近感満載の本当に熱い数少ないジャパニーズ・ソウル盤です。
実にファンキーなオープニング「South To South」からニューオリンズ・ソウル・クラシック「Ooh Poo Pah Doo」の流れからして最高です。オリジナルも藤井裕のパーカッシヴなBassも大活躍の「最終電車」、ブルージーなスロウ傑作「こわれたコーヒーカップ」、グレイトすぎる西成ファンク「むかでの錦三」と何れも秀逸。またくんちょうが渋い喉を披露する「Love Me Tender」、ルーファス・トーマスのファンク・カヴァー「Break Down」、キー坊が敬愛するレイ・チャールズ「Georgia On My Mind」などカヴァーも魂入ってます。ラストは必殺のオーティス・レディング「I Can't Turn You Loose」。RCサクセションが影響を受けたのもよく分かる、熱いステージングが繰り広げられます。何が素晴らしいかというと関西弁のイントネーションの良さが随所に盛り込まれているところで、ファンクで黒い音楽性に上手く溶け込んでいる点です。前進主義のキー坊本人はサウスでもうやるべきことは無いと語ってますが、草野球感覚で地元で演る程度ならええやないですか。3年置きくらいに密かにでも集って欲しいもんです。
「おおきにって言葉が世界一様になるアーティスト、キー坊。やっと朝本千可と離別したこれからの活躍が期待です!」
Break Down
むかでの錦三
最終電車
berry
おひさしぶりです。