The Best Of The Staple Singers * 1990 Stax

親父さんが亡くなるまでファミリー・ゴスペル・グループとして活躍したステイプル・シンガーズ。スタックス時代には商業的成功も収め今も聴き継がれる名曲連発でしたが、選曲が素晴らしくオリジナル・アルバムよりもよく聴いたのがこのベスト盤。以前幸運にも、大阪ブルーノート(現ビルボード)で見た時もリード・シンガーのメイヴィス・ステイプルズのハスキーで感情表現豊かな歌唱がひたすら素晴らしく、いたく感動した父娘グループです。50年代前半から活躍と歴史的にあまりに長いので全部聴くのは大変ですが、もし1枚で彼等を聴きたいって思うなら本ベスト盤の曲目は実にグレイトな選曲で、ある程度70年代スタックス期の美味しいところが満喫できます。
1曲目から「Heavy Makes You Happy (Sha-Na-Boom Boom)」で気分高揚しまくりです。傑作アルバムとされる「Respect Yourself」からのルーサー・イングラム作の代表作ともいえる表題曲、「This Word」、「I'll Take You There」、「This Old Town」あたりは文句のつけようが無い代表曲となる名曲で後にカヴァーも多く生んだ銘品。彼等自身が取り組んだカヴァーも秀逸で、お得意The Bandの「The Weight」、Otis Reddingの最大ヒット「The Dock Of The Bay」と人の曲も自分達のスタイルで最高の形で昇華。メイヴィスのドス黒い歌唱がビカビカに光ります。ファンキーに迫る「Love Is Plentiful」、ブルージーながらド迫力の声に震える「We'll Get Over」、ゴスペル特有の高揚感もたまらんライヴ・テイク「Oh La De Da」、朴訥とした調子でおやっさんがエエ感じで歌う「Be What You Are」と最高の選曲がたまりません。中でも癒されつつ前向きになれる稀有な曲「If You're Ready (Come Go With me)」はゆったりしたテンポでポジティヴなメッセージを伝える名曲中の名曲。本グループの真骨頂というべきエヴァーグリーン曲ですわ。そして「I'll Take You There」の続編みたいな「Touch A Hand」や最高としか言いようのない「My Main Man」と続き、最後はスタックス晩年の「City In The Sky」で力強い締め。何せグラディス・ナイト同様、どんなしょーもない歌でもエエ歌に変えるほど歌力を持ったメイヴィス嬢は流石です。生で聴いた時の鳥肌ゾゾーッの感触がこれらを聴くとよみがえってきます。
「実は何が気に入ったかというとこのジャケ。町の写真館での家族写真みたいなとこが、エエんですわ」
goldenblue