The Popular Music 筒美京平トリビュート / Various Artists * 2007 Universal

今月、偉大な作詞家阿久悠さんがお亡くなりになられました。生前に沢田研二、堺正章、和田アキ子等が出ていた阿久さんの偉業を称えるTV特番で見て驚いたのがそのヒット曲の多さと生きた言葉の使い方。何と簡潔な表現ながらグッと心に染みる詞が多いこと。また子供の頃、聴いてたヒット曲の殆どがこの人のペンによるもんだったのかと思った程、口ずさめる曲ばっかでした。今のシーンを見ると何がいいたいんかようわからん歌詞や、奇をてらった歌詞が多すぎて純粋な表現が少なくなり少し寂しい気がします。老若男女に愛されるヒット曲を送り出してきた偉人であっただけに非常に残念でしたが、阿久さんと同時期に同じくヒット曲を連発させていた作曲家といえば大和民族にフィットした和製ポップスを送り続けてきた筒美京平さんです。いまだ現役活動中で、ウチのバカ息子までも口ずさんだTokioの「AMBITIOUS JAPAN!」まで筒美さんの曲と知ってびっくりしましたが、この人のヒット曲の多さも目を見張るものがあります。その覚えやすいキャッチーなそのメロディは本当に素晴らしいもので我々日本人への浸透度は絶大なるものです。個人的に馴染みが深いのは'70~80年代のシティ・ソウル的趣きの名曲群で阿久さんが詞も手掛けた大橋純子の傑作「たそがれマイラブ」や野口五郎「グッド・ラック」なんか今聴いても最高です。そんな歌謡曲維新の時代と称された'70年代の絶頂期に産み落とされた筒美さんの名曲群がリスペクトたっぷりにカヴァーされたのが本作。
まずは山崎まさよしがマチャアキの名作「さらば恋人」をモータウン風アレンジで好カヴァー。徳永英明による「たそがれマイラブ」はオリジナルに思い入れ強すぎなので、取り上げた心意気のみ評価。つんく♂の「セクシャルバイオレットNo.1」は飲み屋でホストが歌ってるような感覚がそれなりにハマってます。平成になってからも筒美京平ココにありと思わせた美メロ「人魚」はBonnie Pinkがしっとり歌い上げます。ゴスペラーズは「夏のクラクション」を絶妙のハーモニーで、m-floとのコラポが素晴らしかったmelodyも「真夏の出来事」をUKR&B風に瑞々しく再現。また草野マサムネの「木綿のハンカチーフ」はスピッツの曲やったっけと錯覚させられる相性の良さでニンマリです。最後はヒシヒシと愛情が伝わるオリジナルを意識したアレンジのクレイジー・ケン・バンドによる「また逢う日まで」。阿久悠さんのドラマティックな歌詞も秀逸なこの曲は世代を超えて歌い継がれるべき和製ソウルです!
「しかしええメロディの連発です。まだまだチャートに一泡吹かしてください!」
尾崎紀世彦 - また逢う日まで
真夏の出来事/melody.
Nob
そうそう・・・