Bo Diddley / Bo Diddley * 1958 Chess

男はこだわりを持って生きなければなりません。それがどんなにしょうもないものであっても構いません。そこに男の美学があるのです。太いセルフレーム・メガネに変てこりんな形状のギター、ワン&オンリーの音楽と自分のスタイルをとことん貫き通す男、ボ・ディドリー。こんなカッコええ男、そうザラにはいてません。曲のパターンなんか、代名詞ともなるあのズンドコドンドンツツドンドンの偉大なジャングル・ビートに、アフタービート系、ブルース系と極端に言って3種類のみで殆ど1コードいう男らしさ。根底にはラテン音楽に通づる何ともトロピカルな独自性の強いビートは実にファンキーで、バディ・ホリーやストーンズを筆頭に影響力絶大でした。またボの音楽の特徴として欠かせないのがマラカスで、ジャケ左端にかろうじて写るジェロメ・グリーンがシャカシャカ鳴らす様は最高で、ボのぶっきらぼうな歌とリズミカルで“さいざんす”なギターにも絶妙なマッチングです。どのアルバムを聴いても内容がさして変わらんのも素晴らしさ満開ですが、その基本形となったこの1stは自分だけがしっかり写っているジャケも含めて最高としか言い様がありません。
中身は自分の名前を冠した'55年の最初のヒット「Bo Diddley」からスタート。もうボの名刺代りみたいな代表作で、もし曲の形態にも特許があってこのビートを流用するには使用許諾料を払わなければならなかったらおそらくボは大金持ち間違いなしです。今でもイントロ10秒聴いただけでアドレナリンやらドーパミンやらが体中から大洪水をおこす大傑作です。もうひとつの看板スタイルのアフタービート系では、またもや自分の名がタイトルに登場の「Hey! Bo Diddley」、映画ラストワルツのロニー・ホーキンスのカヴァーも忘れられん「Who Do You Love」とコチラも文句無しの傑作収録。ブルース系では「I'm A Man」、「Before You Accuse Me」とストロング・ヴォイスが響きわたります。しかし何といっても最高なのはジャングル・ビート・スタイルで「Hush Your Mouth」やアルバム最後の「Pretty Thing」なんか曲調もたいして変わりませんが体が勝手に動き出して手に負えない無敵さです。
「二十才からお気に入りのNikeのボ・ディドリーTシャツ。敬意を表して今年も着ます!」
BO DIDDLEY 1965
まり