Hi De Ho Man / Cab Calloway * 1974 CBS

1930年代、まだR&Bもソウルもヘチマもなかった頃から黒人音楽の源流となるエンターテインメントを体現してきたキャブ・キャロウェイ。ディジー・ガレスピー等と共にハーレム時代のジャズを歌手・俳優・バンドリーダーとマルチな活躍で支えてきた人です。勿論当時の活躍は知る由もなく映画ブルース・ブラザーズでの名演で初めて知ったのですが、歌のインパクトだけで言うとJBやレイ・チャールズよりも強烈だったのが劇中終盤で歌われた「Minnie The Moocher」。表現力抜群の歌唱でユーモラスに歌う様は何とも印象的で、物悲しさも持ち合わせつつ掛け合いも最高のこの曲は一発で気に入りました。そんなキャブの全盛期1930~40年代の素晴らしい録音を集めたのが本CD。粋にスウィングするジャイヴ・ミュージックの数々は、初期に所属していたデューク・エリントン楽団のビッグバンド・ジャズにも通じる楽しさ満載で、後のドゥーワップやジャンプ・ブルースにも影響大となった黒人芸能の原点となる名演集です。
中身は1曲目「Nagasaki」から軽快にスキャットしまくりの1935年録音で一気に心惹きつけるグレイト・スウィングです。前半ではジョー・ジャクソンもカヴァーした“Hep Hep=(Hip)”と連呼するのが最高な「Jumpin Jive」、ソウルフードでも欠かせないチキンについて歌った「A Chicken Ain't Nothing But A Bird」、ダンディに決める「My Gal」、実にドラマティックな代表作のひとつ「St. James Infirmary」、スィートな「I'll Be Around」とゴキゲンさんなナンバーの連打です。そして下品に迫るミュート気味のトランペットにキャブのダイナミックな歌唱が光りまくる大ヒット「Minnie The Moocher」。文句無しにキャブの代名詞と言える超傑作で喉開きまくりのあの声も絶妙のはまり方で最高としか言い様がありません。アルバム後半は1940年代中心となりR&B調にグルーヴィーさも増し「Honey Dripper」、「Hi De Ho Man」、「Jungle King」、「The Calloway Boogie」等どっから聴いても軽快に聴き通せますが何といってもキャブの表情豊かな歌唱がたまりません。
「何ともユーモアに溢れた粋なジャズメン。聴いてるうちに顔がほころぶ20曲!」
Sesame Street - Cab Calloway sings "Hi De Ho Man"
"Minnie The Moocher" - Cab Calloway
"Minnie The Moocher" - Cab Calloway
リュウ