Number Ones / Louis Jordan * 2005 Decca

ブラック・ポピュラー・ミュージックのルーツといえる男、ルイ・ジョーダン。ジャイヴっていうのか、R&Bっていうのか何かよう分かりませんが、確実に言えるのは“ゴキゲンな音楽”ってこと。それはもうノリノリでございます。バンドも歌もスウィングしまくりで、「音楽」の字の通りホント楽しくなっちゃいます。それこそジェイムス・ブラウンやチャック・ベリーやら偉大な人達から、さらに川上まで昇ったルーツな人でサックスから歌まで器用にこなすエンターテイナー。R&B界の仙人みたいな人です。
本アルバムは彼の黄金期と言われる1940年代のデッカ時代の美味しいトコ取りでまとめ上げた18曲のR&Bナンバー1ヒット集。これはスティーヴィー・ワンダーが塗り替えるまでルイが持ってた記録だそうで、いかに大衆音楽として影響力の強い人だったかがよくわかる音源です。30年代からサックス奏者として活動した後、黄金のバック・バンドHis His Tympany Fiveを率いて、ついにブレイク。冒頭に収められたのが42年の記念すべき初No.1ヒット「What's The Use Of Getting Sober」。こっから出す曲、出す曲、大ヒットってな具合やったみたいですが、Popチャートでも1位獲得となった「G.I. Jive」はじめジャズやらブルースをスイングさせたスタイルは今聴いても実に粋な音楽。ミュートしたトランペットにサックスがナイスに絡む「Mop-Mop」などルース・ブラウンとかがそのまま継承したようなスタイルで、「Buzz Me Blues」あたりはB.B.Kingがお手本にしたような感じがたまらんブルース・スタイル。そしてJ.B.で初めて聴いた45年ヒット「Caldonia」はエクセレントの一語。ブッ飛びのヴォーカル・スタイルに、ナイスなバック・サウンドはまさにオリジナル・ロックン・ロール。「Don't Worry 'Bout That Mule」も“ロック・アラウンド・ザ・クロック”の原形のように聴こえます。他もElla Fitzgeraldのハスキー・ヴォイスとの対比も楽しいデュエット・ナンバー「Stone Cold Dead In The Market」、驚異の18週連続No.1を記録した超ゴキゲン・ブギ「Choo Choo Ch'Boogie」、イントロのギターで真っ先にチャック・ベリーのルーツを感じる「Ain't That Just Like A Woman」、もう腰が勝手に動くほどノリノリの「Texas And Pacific」、ホーンアレンジもカッコよすぎる「Jack, You're Dead!」と無敵のブギウギ・ナンバーが連打で言うことナッシング。バック・ヴォーカルとの掛け合いも楽しい「Run Joe」に「Beans And Cornbread」あたりも豊かな表情を見せるヴォーカル・スタイルが最高です。中でもホンマに土曜日は鯵フライなど食べたくなる「Saturday Night Fish Fry」にはマジしびれまくり。その後、50年代に入ってチャートから遠のいたものの、ルイの元プロデューサーであるミルト・ゲイブラーがビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツにそのジャンプ・ブルース・スタイルを再構築させ“ロックン・ロール”となったのは、有名な話。
「なんせJ.B.のおっしょさんみたいな人。ジューク・ボックスの王者と言われた男の素晴らしき音です!」
Saturday Night Fish Fry
Caldonia
Choo choo ch'boogie
goldenblue
No title