Let's Stay Together / Al Green * 1972 Hi

男の中の男といえば間違いなくアル・グリーン。じつはアルバムレビューといいつつ、まともに全曲「通し」で聞けるアルバムってホンマに少ないもんです。その点、コレは別。モコモコサウンドが醸しだすソウル感が最高なハイサウンドに乗って実に高品質なミディアムテンポの曲が連なります。アルが本来持っている野太いゴスペル唱法を抑え目に、魅惑のファルセットも駆使したアル黄金期のスタイルが確立された記念すべき作品。そりゃWu-tang総帥RZA氏も惚れ込む筈です。ニューヨーク・アポロ劇場のホール・オブ・フェイムのイベントでTeddy Pendergrassや芋虫Ben.E等をくいまくった痛快パフォーマンスを見せたタイトル曲「Let's Stay Together」は音楽界の金字塔といっても誰も異論無しの名曲です。多くのカヴァー作品が存在しますが、このオリジナルに勝るものは無いと断言できます。
その名曲を軸に据えた本作ですが他もハズレ無しで曲・サウンド共に文句無しです。Hiサウンドの立役者でありプロデューサーのウィリー・ミッチェルも歴史的大事業を成し遂げたといえる完成度の高さです。殆どがアルの自作曲で「So You're Leaving」に「Old Time Lovin」とミディアム、スロウともに大充実です。そしてアルの凄いところはカヴァー曲も自作の如く圧倒的完成度を見せていることです。エディ・フロイドの「I've Never Found A Girl」に、ビージーズの「How Can You Mend A Broken Heart」と、しっかり自分の世界で歌い切ります。特に後者のスロウは鳥肌失禁モンで、セクシーなソウル・ヴォイスがチャールズ・ホッジスのオルガンに乗った「これぞHiサウンド!」といえる絶品の仕上がりです。本編最後を飾る、重たいリズム・セクションがたまらん「It Ain't No Fun To Me」でも力強いアルの歌唱がグッと聴き手を引き寄せます。2003年にボーナストラック2曲(「Eli's Game」、「Listen」)付リマスターの決定盤が出ています。
「70年代ソウルな最良の部分を教えてくれた名盤中の名盤。一家に1枚必須。」
Let's stay together
"How do you mend a broken heart"
k-hiko