I'm Real / James Brown * 1988 Scotti Bros

それにしても最高のアルバムタイトルです。サンプリング文化が定着しつつあった頃、正に色んな形でおっしょさんの過去の音源が切り貼りなされる中、声高らかに「わしがホンマもんや」と宣言したアルバム。初期のHip Hopは今と違って、無法地帯の中で過去のおいしい音源を無断でループしていたので本人も腹立つやら嬉しいやら複雑やったんやないでしょうか。確かにJB音源のHip Hopはカッコええのが満載ですが「すんまへん。ちょっと借りまっせ」の一言が無いと礼儀に欠け気分もええことないですわな。しかしHip HopがJBの格を上げ若年層まで知らしめたのは紛れも無い事実で、Hip Hop初期の功労者Full Forceとがっぷり四つで作ったこのアルバムは打ち込み時代以降のJB作品としては未だに最高峰と確信しております。近年は色んな先鋭のクリエイターとコラボはするものの、自身の作品での中途半端さは否めないのが多いですがコレは別。時代とJBがビシーッとシンクロした興奮のアルバムで、Full ForceのJBに対する「愛」もRealであったということやと理解してます。
中身は自らのサンプリングやスクラッチを取り入れた痛快なもので、前作のGravityなんか屁みたいに感じる素晴らしいものです。Full Forceのアカペラ「Tribute」から、“偽者は消えうせろ”と睨みをきかす御大が頼もしい大傑作「I'm Real」で全盛期同様の緊張感が張り詰めます。このヒップ・ホップ的アプローチに本人自ら擦り寄った歴史的マジック。賞賛モノです。そしてレコード針ノイズもスリリングな「Static」、名作Soul Powerのベースラインを用いた「She Looks All Types A' Good」、Maceoのアルトも炸裂する「Keep Keepin'」と興奮の連続間違いなしです。なぜか従来スタイルの「It's Your Money $」が1曲浮いてますがご愛嬌。
「この緊張感こそJB。また旬のプロデューサーと気合の1枚を望む!」
James Brown Whit Full Force - I'm Real
リュウ