ぼちぼちいこか / 上田正樹と有山じゅんじ * 1975 徳間音工

なにやら怪しい大阪の街中でのオッサンの叩き売り商売の光景のSEから始まる歴史的傑作。今もウルフルズ等が大阪弁を売りにした曲を出したりしてますが、何やら違和感を感じずにはいられません。ここではラグタイムやブルースを土台にした自然でリアルな大阪弁ミュージックを2人が完成の域にまで持っていっております。またどの歌にも大阪(関西)の庶民的ストーリーがしっかりあり路地や長屋、商店街の光景がリアルに浮かび上がります。最近あるTV番組で久々に道頓堀を歩いたキー坊こと上田正樹が「全然、昔と違う。ええとこが何にも残ってへん」と嘆いていたのは非常に残念ですが、これも時代の流れでしょうか。ただ今でも偶に有山氏とキー坊が、たまにイベントとかに出てここからの曲をやってますがマジで拍手大喝采で大受けしており、未だに支持が厚いのを目の当たりに感じます。
中身の演奏は当時のキー坊のホーム・グラウンドといえるサウス・トゥ・サウスが担当。まさに阿吽の呼吸といえる演奏で渋さがキラリと光ります。「あこがれの北新地」、「Come On おばはん」、「とったらあかん」、「俺の借金全部でなんぼや」、「買い物にでもいきまへんか」等タイトルからして劇的に素晴らしい傑作が並び、今ではあまり見られないベタベタのキー坊が堪能できます。ゲストVoの金子マリも絶妙の相方を演じる「みんなの願いはただひとつ」も庶民バリバリの歌詞がたまりません。なかでも有山氏がほのぼの歌う「梅田からナンバまで」は関西音楽史上1、2を争う大名曲! 発売から30年以上経過してますが、いまだにコレの代替となる大阪弁ブルース&ソウルは登場していません。やっぱこのコンビは何げに凄い化学反応を引き起こしてます。しっかり幅広く活躍中のキー坊に、天然記念物指定が待たれる有山氏とのコンビ芸はまさに昭和の至宝ですわ。
「まぁいっぺん、聴きなはれ。ほんまよろしおまっせ」
梅田からナンバまで
買い物にでもいきまへんか
ハリー
TBありがとうございます