PLEASE / RCサクセション * 1980 Kitty


天国の住人になって早10年以上経ったのに、いまだ存在感抜群のキヨシロー。先月の雑誌企画でベスト・ソングス100も特集され、見事1位に選出されたのが皆に愛されまくった曲「トランジスタ・ラジオ」でした。バンド時代になって最初の頃のシングルで、クラシック連発期の重要曲。自分は小学生でしたが、この80年はよく覚えています。ライブで評判になり、テレビやラジオでも見かけるようになった正にブレイク元年。シングル"雨上がりの夜空に”や"ボスしけてるぜ”、そして“トランジスタ・ラジオ”、ライヴ盤“RHAPSODY”からこの“PLEASE”まで全部1980年やったんです。なんと濃厚な1年、神懸かってます。ザ・ベストテンとかに登場したわけでもないですが、ちょっと音楽に興味がある人等は誰もが注目してました。
本作はバンド・スタイルになって初のスタジオ録音アルバムで、当時はクリーンなサウンドで少し軽さも感じましたが、曲は重要曲ばっか。掛け持ちで参加していたギターの小川銀次は抜けた5人編成です。暗黒時代から演ってた「ダーリン・ミシン」で軽快にスタートして、名曲「トランジスタ・ラジオ」が登場。歌詞もポップなコーラスも生向委のサックスも全て完璧。この曲で1つ目の頂点に立った感じ。続くドゥーワップ調の「モーニング・コールをよろしく」、盟友リンコさんとの共作「たとえばこんなラヴ・ソング」の後は本作で最もアップテンポの「DDはCCライダー」。当時はドライビングなロック・ナンバーがやっと出てきたと感じた曲でした。ソウルな清志郎が炸裂する「Sweet Soul Music」は上田正樹へ提供した曲のセルフ・カヴァー。金子マリも絡んで、ソウルフルさ満開に仕上げてます。後半は、発売当時には前衛的な試みとしか思えなかった「ぼくはタオル」から。ジャングルビートに乗って干された不遇時代を歌ってます。ほっこりコミカルな「ミスター・TVプロデューサー」に続くのは後半のハイライト、何といっても傑作の「いい事ばかりはありゃしない」。中央線沿線での生活が情景描写されたヘヴィーな歌詞が子供心にも染みました。まさに日本版The Weightで、仲井戸麗市が清志郎30周年ライヴで歌った感動テイクも必聴です。怒りに満ちた「あきれて物も言えない」から、今聴くとラグタイムな「体操しようよ」が最後に配置されているのも、センス抜群。
「ジョン・レノンが旅立つ直前に投入された日本のロック超重要作。サンキュー!」
トランジスタ・ラジオ
いい事ばかりはありゃしない
あきれて物も言えない
片山ニク