On Air / The Rolling Stones * 2017 Polydor

やっぱり、でたか〜っと登場してきたのが、BBCライヴものの大本命、ザ・ローリング・ストーンズ!もうこれは、ストーンズ・ファンはもちろん60'sビート・ファン、めんたいロックファン、乃木坂46ファン(←嘘です)も必須の貴重な音源。思えばもう30年程前、“Get Satisfaction ... If You Want!”とかのブートレグで聴いてきたBBCライヴ音源、GRRR!のオマケなんかで予兆を感じさせる動きはあったものの、ようやくきっちりした形での登場です。ストーンズも爺さんになったけど、こっちも負けずにバリバリのおっさんになってしまいました。そんなことで、島耕作でいうところの、ヤング・ストーンズ編。初々しいR&R大好きボーイズの演奏はやはりビカビカに輝いてます。1st、2nd、Out of Our Headsの3枚をこよなく愛するストーンズファンにとっては、待ってましたのオフィシャル音源32曲がココに到着です。
63年デッカ契約から3年間の記録はカヴァー中心の頃で、昨年発売になったブルース・カヴァー集と聴き比べるのも面白いところですが、こっちはよりロックン・ロールやソウルの要素が強し。ココがええんです。ファズ・サウンドを広めたと言われるオリジナル・ヒット「(I Can't Get No) Satisfaction」や「The Last Time」は斬新さも感じますが、中心となるのはバンドのルーツであるカヴァー曲で、なんとも勢いを感じる演奏。まず十八番のチャック・ベリーはデビュー曲「Come On」に始まり、「Route 66」、「Down The Road Apiece」、「Around And Around」、「Carol」、そしてスタジオ録音では聴けなかった「Roll Over Beethoven」、「Memphis, Tennessee」、「Beautiful Delilah」と、孫カヴァーも含めると8曲も収録。当時、バンドが録音までしに行ったチェス系では、チャック同僚のボ・ディドリーも「Cops And Robbers」、「Mona」、「Crackin' Up」と脂の乗った演奏で聴かせます。当時の流行ビートとなったトミー・タッカー「Hi Heel Sneakers」もしっかり演ってます。ブルース系では、やっぱ「I Just Want to Make Love To You」のパンキッシュな改作が猛烈にカッコいいです。そして後のストーンズが羽ばたく、重要な下地となったソウル系のカヴァーが秀逸。「It’s All Over Now」、「Cry To Me」、「Mercy, Mercy」、「Oh! Baby (We Got A Good Thing Goin')」、「You Better Move On」、「If You Need Me」、「Everybody Needs Somebody To Love」あたりは間違いなく本作のハイライトです。ミックの柔軟で歌心溢れるスタイルの原点やと思います。他にも注目は、このライブで公式音源初登場なのが、バスター・ブラウンの59年曲「Fannie Mae」、ジミー・リード「Ain't That Lovin' You, Baby」といったところ。
「好きな曲を演りまくって、楽しみまくってる5人衆。ここがバンドの原点です!」
Roll Over Beethoven
(I Can't Get No) Satisfaction'
波野井露楠