Mr. Big Stuff / Jean Knight * 1971 Stax


ニューオリンズの音楽制作者で重要人物といえば、ウォーデル・ケザーク。初期マラコ・レコードの立役者でもありますが、マラコが弱小だったころはアトランティックやスタックスが配給していて、その頃の名仕事がみんな大好き「Mr. Big Stuff」。もうヒップ・ホップ初期からサンプリングされまくりの激ナイス・グルーヴで、レディ・ソウル“ジーン・ナイト”の特大ヒットです。ハリのあるハスキー・ヴォイスもかっこよくて、もう何枚もアルバムがあるのかと思えば、70年代は本作のみ。ちなみにジャケットのファットな人がジーンではありません。適度なファンキーさが相性良好ですが、サザン・ソウルとしても絶品で、ずっと浸りたくなる気持ちエエ風呂のような魅力に溢れてます。
やはり目立つのが「Mr. Big Stuff」系のファンキーなハネもんで、ガチガチのファンクでもなくユルいニューオリンズ・テイストってとこが心地良いです。これまたナイス・グルーヴな「Don’t Talk About Jody」や「Take Him」、「Call Me Your Fool If You Want To」あたりが同系の曲となっていて、なかでも「You City Slicker」はBig Stuffのパート2みたいな趣き。そしてたまらんのが、泣きのスロウ「Why I Keep Living These Memories」。これはサザン・ソウル・マナーに則ってジーンが感情たっぷりに歌い上げてくれてます。「A Little Bit Of Something」や「Think It Over」なんかもナカナカ素晴らしく、ディープ・ソウルの類でもトップクラスと言っていい高品質さ。また“街の灯り”系の哀愁ミディアムも冴えていて、「One-Way Ticket To Nowhere」は聴き逃せない曲。最後は「Your Six-Bit Change」で、サム&デイヴ的なノーマルなジャンプ・ナンバーで〆。
そして現行仕様はこの後にリリースのスタックス・シングルが追加。72年の「Do Me」、「Helping Man」、「You Think You're Hot Stuff」なんかの南部仕様のマディでゆったりしたファンク・テイストはやっぱり安定感あります。本作がお気に入りならば、さらに別盤ですがジャッキー・ウィルソンのカヴァーとかも演ってる60年代の初期録音も結構イケてます。
「聴き出すと気持ち良すぎて聴き入ってしまう南部産。これも重要作です!」
Mr Big Stuff
One Way Ticket To Nowhere
波野井露楠
No title