Lovesexy / Prince * 1988 Warner Bros

もぅ朝からうだるような暑さとなってきた大阪地区。「裸で道頓堀でも泳いだろかっ」と血迷いそうな不快指数です。ここは裸のプリンス。「安心してください、はいてますよ」と言いたかったのか、アキラ100%の先駆者としてのお茶目な芸風だったのかは謎ですが、素っ裸で自信満々、絶好調だったプリンスです。その自信の表れが、前代未聞の嫌がらせ仕様の本作。CD時代になって、1曲毎のトラック割りがなされ、飛ばし聴きが容易になった頃なのに、あえてスキップが許されない45分1曲のトラックとして収録。殿下の反抗、してやったりでした。謎の発売直前回収となった“Black Album”の出し直しのように出され、しかもギョッとするヌード・ジャケでしたが、中身のクオリティは申し分無し。
とにかく猛烈な仕事っぷりだったにもかかわらず、曲のクオリティは異様な高さ。多重録音主体ながら、バンド・サウンドもバランス良く配置。特にシーラEがドラマーとして参加した前半3曲のクオリティの高さは特筆モノです。まず冒頭からポップ・テイストをセクシーなファルセットで「Eye No」、キャト・グローヴァーのラップも冴える1stシングルとなった「Alphabet St.」とプリンス仕様のファンク連発でテンション上がります。続く「Glam Slam」は“1999”からの流れも汲むキャッチーなポイズン・ポップ。ギター・サウンドも派手かつ綺羅びやかで最高。プリンス流ゴスペルのような「Anna Stesia」まで一気に聴かせます。そして後半戦は、アップテンポ「Dance On」、万華鏡のようなタイトル曲「Lovesexy」と少し平凡な感じですが、“Black Album”からボツにせずに生き残った美メロ曲「When 2 R in Love」は秀逸の一語。お得意ファルセットを駆使した極上スウィート・ソウルを充分に楽しめます。終盤はシングルカットの「I Wish U Heaven」に続くオーラスの大作「Positivity」で〆。一時のスライ・ストーンも彷彿させる重厚感も伴ったエンディングで、止めさせないトータル感もしっかり感じさせます。
「この曲順どおりに聴けっ、とアルバムの体にこだわった殿下。裸で体感して快感倍増です!」
ALPHABET STREET
When 2 R in Love
Queen
No title