Let Me Get By / Tedeschi Trucks Band * 2016 Fantasy

普通に土の匂いのするロック・アルバムを聴こうとしても、古いのを探さなければいけない時代となっちゃいましたが、現在進行形で良い作品を連発してくれる頼もしい人等もいます。それがテデスキ・トラックス・バンド。ナカナカの美人ヴォーカル&ギタリスト、スーザン・テデスキ嬢が、夫であるデレク・トラックス(←オールマン・ブラザーズ系の凄腕スライド・ギタリスト)と組んだファミリー・ユニット・バンドです。同じ夫婦ユニットとしてデラニー&ボニーとも比較されたりもする激スワンピーなバンドで、このたび待望の再来日。桜も満開となった4月の九段下、武道館でのライヴを観戦です。
この種のバンドが希少種でウェルカムといっても、ただブルージーに演ればエエというだけでは客はついて来ません。その点、この人等はひと味ちゃいます。普遍的に素晴らしい“Made Up Mind”や“Midnight In Harlem”という名曲もちゃんと持っていて、武道館でも演ってくれました。今回のライヴで、狂喜したのはアンコール最終で演ってくれた“With a Little Help From My Friends”。イントロのあのオルガン・フレーズから歓声です。現代のスワンプ・バンドらしくMad Dogs時代のジョー・コッカーVersionでスーザンが激唱するという美味しいもので、他にもカヴァーはデレク&ドミノス「Keep On Growing」やエルモア・ジェイムスも披露。一方、今年に入ってから発表された、この最新作からも結構演ってくれていて、アルバムのトップを飾ったクラシックとなりそうな名曲「Anyhow」や、ファンクな「Don't Know What It Means」、Mike MattisonがVoをとる「Crying Over You」、オールマン・テイストが嬉しい「Let Me Get By」、ノーザン・ソウルな「I Want More」、ボビー・ブランドのブルース「I Pity the Fool」など、実にエエ感じで演ってくれてます。ちなみにMikeはオールドR&Bの「Sticks and Stones」もライヴでは披露でノリノリ。今回は聴けなかったけど、他にも本作には、実にスワンプな「Laugh About It」、レイドバック期のクラプトン彷彿の「Just as Strange」、カントリーの香りもする「Hear Me」、サザン・ソウル・テイストが嬉しい「In Every Heart」などイイ曲がいっぱい。1stの頃から比べると、よりソウルっぽくなってるのもポイント高しです。Deluxe Editionでは何とボウィの「Oh! You Pretty Things」カヴァーの他、Alternate Mixや2015年のN.Y.ライヴも収録。
「デレクさん、ゲスに浮気せんと末長く一緒に演り続けてくださいまし!」
Anyhow
Sticks and Stones
Okada
No title