A Nod is as Good as a Wink... to a Blind Horse / Faces * 1971 Warner Bros

ロック・アルバムとして、ストーンズの“刺青の男”やJガイルズ・バンドの“ブラッドショット”と同じくらい男前なアルバム。40分足らずの1枚ですが、トップ、中盤、お尻とココぞという場面でバンドの一番美味しいところを堪能させてくれる流れで、コース料理としては最高の部類。素材・調理・出す順番と文句無しやと、今もそう思うのがフェイセズのこの3枚目、“馬の耳の念仏”です。ロッドのソロ“マギー・メイ”が初の大ヒットとなった余波とはいえ、こちらも相当売れたというバンドとしての代表作。ガッツリ気分良く、ロックに浸りたいと思ったら必ず聴くのがコレです。今月、イベントでのロッド込みのリユニオンを祝して紹介です
まず肝心な1発目。イントロからロン・ウッドのギターに、ロッドの雄叫び、1拍目に重心を置いて一気にグルーヴするバンド・サウンドが絶品の「Miss Judy's Farm」です。初めて聴いた時に、もうココでガッツ・ポーズだったのを思い出します。そしてA面最後に配された金字塔傑作「Stay With Me」は何回聞いても興奮する、これぞロックやと思える絶品ナンバー。ロッドの♪In The Morningってハイトーン切り込み、ウッディの絡みつくスライド、ロニー・レインの歌いまくるベース、ケニー・ジョーンズのバタバタのドラム、イアン・マクレガンの転がり続けるエレピと完璧な曲。クリックなんか聞いて演ったら絶対醸し出せないテンポ・チェンジもスリル満点です。そして最後が、コレまたフレット全部を使うような豪快なスライドとロッキン・ロッドの絡みがたまらん「That's All You Need」と、要所で「これ、これ!」って思うスチュワート=ウッドのペンによる絶品ナンバーを収録。なんか分からん“華”を感じます。この感じはストーンズでは“Rough Justice”などでしか聴けないので、やっぱフェイセズです。そして肝なのが合間にロニー・レインがコンポーズに絡んだ曲で、「Love Lives Here」や、“Stay With Me”を挟むロニーのヴォーカル曲「Last Orders Please」と「Debris」。高校生の時は「なんでロッドやないの?」と思いましたが、ロッドがハーモニーに廻るトラッド趣味のこれらがあって更にアルバムが味わい深くなります。もしロニー・レインがいなければ、ただの数多あるブルース・ロック・バンドやったかもとさえ感じます。ここもメンバーの妙。他も、バンドのウネりが何とも楽しいチャック・ベリーの「Memphis, Tennessee」に、疾走感溢れるロッドの絶頂期の声が聴ける「Too Bad」と、外せん曲ばっか。
「ロッドの代表曲って“Sailing”? アホなこと言うたらあきません“Stay With Me”です!」
Stay With Me
That's All You Need
goldenblue
No title