Goats Head Soup / The Rolling Stones * 1973 Atlantic

北米ツアーの発表に、またもや登場予定の発掘音源など、にわかに賑やかになってきたストーンズの2015年。素晴らしいやないですか! このところシーンでの不在感が無いのは頼もしいところ。過去音源の登場も50周年ツアー参加の注目もあってか、発掘モノはミック・テイラー期のモノが中心なので、ここはテイラー期、73年ジャマイカ録音のオリジナル・アルバム。個人的に、すでに有名曲は知ってたので、ストーンズでも最後の方に買ったアルバムです。“Some Girls”以降のシャキシャキのサウンドと違い、雲がかかったような抜けの悪いサウンドが80年代にティーンだった私はあまりに古臭く感じ敬遠。でも楽曲自体はエエ曲かつ重要曲も結構入ってます。
入手時、真っ先に聴いたのはラストの卑猥でストレートなロックン・ロール「Star Star」。自分のベーシックにある81年USツアーの中盤で演ってて観客もおおいに盛り上がってたカッコいい曲。チャック・ベリー直系のリフに、怒涛のノリを見せるサビと文句無しのストーンズ代表曲のOne Of Themです。シングル曲は、あの泣きのスロウ「Angie」が超有名で、子供心に“アイ〜ンジィ〜”というフレーズに一発ヤラれました。今思うと、あんまりストーンズらしくない歌謡チックな曲ですが、飲み屋の流しが演ってもキマりそうな哀愁ストーンズです。ビリー・プレストンのファンキーなクラビネットがピシャリはまる「Doo Doo Doo Doo Doo」も文句無し。ホーン&コーラスで盛り上げるサビもシビれます。しかしながらアルバム最大の収穫やと思ったのがオープニングの「Dancing With Mr.D」。これはワルい奴等が演ってるに違いないっ!と思わせる不穏な気怠さで迫ります。やっぱこの雰囲気、良いです。キャッチーな「100 Years Ago」、キースも歌うカントリー・ソウル「Coming Down Again」も悪くは無いです。後半は、去年の日本公演でも演ってくれたスライドも軽快な「Silver Train」が秀逸ですが、あとは前作のルーツ探訪の続きみたいな「Hide Your Love」、ミック・テイラーが気持ち良くソロを取らせてもらう「Winter」、早く突き抜けた曲を聴きたいっと枯渇感を煽る「Can You Hear The Music」とスター・ファッカーの前座みたいな野暮ったい曲が並びます。(←ファンの人、ここは無視で) ジャケのミックのようにボケた感触が少々退屈でキツいです。
「自分の中ではストーンズが迷ってるような感触の不調期のアルバム。でも横綱相撲の貫禄はすでにあり!」
Dancing With Mr D
Angie
Angie
片山ニク