
謎のモロッコ系オランダ人ラッパー「シルヴァリングス」。最高のHip Hop集団であるウータン・クランの2軍、3軍(技量ではなく単なる位置づけ)の人ですが、RZA総帥始めとする1軍本隊の鉄壁バックアップでの興奮アルバムがドロップです。正直、本隊復活のキーマンであったO.D.B.の逝去で大きく落胆しましたが、こういうロウファイなアルバムを送り込んでくれると俄然Wuファミリーの新たなる門出を期待せずにいられません。今まで何度もあの心躍るWuトレードマークに騙され実にしょーもないブツまでつかまされてきましたが、今回はちょっと違います!あの初期の一連の作品に見られたワケわからんロウでFatな刀でズバズバ斬りまくります。シーン最前線の音には程遠い脇目を振らないこの独自性は好感度大です。主役のシルヴァリングスはチョコチョコWu関連アルバムで顔出ししてたのでちょこっと知ってる程度ですが、RZAにテープをもって軍団入りを直訴し認められた根性あるラッパーだけあってしっかりアノ音と張り合ってます。なかなか1軍選手も外注制作が目立っていた近年、本隊が本腰入れてつくった音作りは狂喜乱舞の出来具合です。
注目の中身は冒頭からカンフー映画らしき一場面からのサンプリングでいきなり興奮ですが「
Wu-Tang Martial Expert」で早々に
RZAも登場となり、続く「
The Weeping Tiger」では
Raekwonに
Ghostface Killerも参戦する凄まじさ。ウォルター・ジャクソンのサンプリングもハードボイルドに決まる「
Sheherezad, My Beloved」や、待ってましたの
Method Manに激シブ
Master Killerに
Killer Priest等も入り乱れる「
In The Name Of Allah」、天才
GZAがナイスに絡む「
Jewels」とロウファイ一辺倒のトラックが続くえげつない展開。またメスの傑作Bring The Painを彷彿させ
U-Godの声も聴ける「
Blazing Saddles」、軍団の歌姫
Blue Rasberryのフィーチャーも嬉しい変態的トラック爆裂の「
Dart Tournament」、Fouth Discipleの手腕も光る「
Elephant Juice」に「
Deaf, Dumb & Blind」、ストリングスのサンプルが緊張感満載のポッセカット「
Valentine Day Massacre」と最後まで息つく暇さえ無い展開が続きます。無論主役のシルヴァリングスも大健闘ゆえに成り立っているのはいわずもがなです。
「何とも頼もしい弟分のデビュー盤。時代遅れでもかまへん。やっぱこの音です」