Emotions / Mariah Carey * 1991 Columbia

なんやかんやいっても気になってしゃーない女、マライア。私とほぼ同世代ということもあって、つい応援しちゃいます。近年のお腹の肉付きはデビュー時と比較すると本当に立派になられましたが、そこは女王様。最近WowWowで見たライブでもエロ・キャラ全面プッシュの露出狂的展開と、R&B度倍増でガンガン突っ走ってられる様は頼もしいもんでした。「Can't Let Go」を歌いだしたと思ったら、観客に向かって“知らないなら歌わないわよ”とすぐ止める横暴ぶり。それでこそ女王様。マイクもキラキラのデコ・マイク、何回も行われるお色直しと、晒しもんスレスレの展開がスリルある流石のパフォーマンスですわ。しかしながらデビュー時からの曲も織り交ぜたヒット曲だらけのステージは圧巻で、やや声はかすれ気味に変化したとはいえストロングヴォイスも健在でした。そして忘れちゃならないのが結婚前の清楚時代のマライア。MTVアンプラグドのステージングなど今から見れば信じられんくらい謙虚であったと記憶します。そんな清楚で若々しいマライアが存分に堪能できるのがこの2nd。大学時代に友達に「笛かと思たわ」と言わしめた7オクターブとも言われた驚異の声域を武器に、ビッグ・アーティストとしての地位を決定的にしたのが悩ましいジャケも最高の本作です。
さて中身は、やはりタイトルからしてThe Emotionsの名曲「Best Of My Love」のオマージュかと思わせた表題曲「Emotions」が白眉です。エターナルの「Power Of A Woman」と並んで'90sスウェイビート傑作でマライアの華麗な歌いまわしもエクセレント。今もステージで好んで歌われる本作収録の名ダンス・チューン「Make It Happen」や「You're So Cold」も優秀ダンス・チューンですが、これらのプロデュースは当時の売れっ子チームC&Cミュージック・ファクトリー。今、聴くとやや古さも感じますが脂の乗ったええ仕事が満喫できます。チェンジのデボラ・クーパーやトレイ・ロレンツも参加の「To Be Around You」も快調そのもの。あとはマライア初期の立役者ウォルター・アファナシエフが無難に音構築してますが、見逃せないのがマライアが心底尊敬している師匠キャロル・キングと共作したサザン・ソウル風バラード「If It's Over」。コチラも間違いなく本作のハイライトとなる名作で、コーネル・デュプリーらをバックに堂々の歌いっぷりです。ウォルターはスロウ中心に手掛けてますが、「And You Don't Remenber」もソウルフルな力作。やはりこの頃の真っ直ぐで美しい声は、無敵であったと再確認できます。
「ええ感じのおばはんに成長しつつあるマライア。この頃があるからこそ、皆、今も見捨てません」
Emotions
If It's Over (Live From: Grammy Awards 1992)
まり
ezeeさんお薦めならば