I Am... Sasha Fierce / Beyonce * 2008 Sony

「さあ聴きなはれっ」って迫るように会社内でも街中でもやたらと目にしたビヨ嬢のNew アルバム。いつものように誰かに借りるとか、レンタルってセコいまねはせずにしっかり購入です。2枚組で千円台とは、流石は世界のディーヴァ。大盤振る舞いです。どんどんビッグになって、もはやモスラ(←古い)みたいな存在です。今回のコンセプトは“素の自分”I Am 盤と、モスラ・サイドとなる変体形サーシャ・フィアース盤に分けられてます。ようはタイムレスに聴ける歌い込み盤と、ステージで見せる派手な感じのダンス・ナンバー中心のアグレッシブ盤で、こんなこと出来るのも女王の証し。実力も人気も無い人にこんなマネできません。とにかくR&Bファンだけに向けられたものではないことは確かで、全方向性のアルバムですがビヨ嬢の歌がしっかり聴き応えがあるのが素晴らしいところ。今週、新聞で見たビルボード・チャートでも各盤からベスト3に2曲もチャートインさせてました。たいしたもんです。
さて2枚組といって時間はCD1枚分って贅沢さの中身。幾分ポップス路線の強調された1枚目は、一瞬セリーヌ・ディオンでも目指し始めたか?ってな感じの大袈裟なバラードなどが中心です。シングル曲となったパワー・バラード「If I Were A Boy」はパワフルな歌もなかなかですが、続く「Halo」がポジティブで力強い作品で秀逸。優しく女らしさを出した「Desappear」はさりげなさが実にエエ感じで1枚目では個人的一等賞。前作の立役者スターゲイトの手掛ける曲はBabyface作の「Broken-Hearted Girl」、あのクラシック曲を引用した「Ave Maria」とありまして後者は結構感動的ですが、期待が大きすぎてやや肩透し。注目のTricky Stewart&The Dreamが手掛ける「Smash Into You」は普遍的なサウンドでそこそこエエ曲に仕上げてます。そして2枚目の従来のR&B路線は1曲目の大ヒット「Single Ladies」からイケイケ。サーシャになってブッ飛ばしてます。Bangladesh制作の「Diva」などHip Hop色全開で尖がったサウンドも楽しめます。中盤はエレクトロなサウンドなんかも交え進みますが、ハイライトは後半。早口ヴォーカルでグイグイ迫る「Hello」から、オーガニックなサウンドも交えソウル臭を強烈に発する「Ego」などは以前からのビヨンセを求める人も「よっしゃ!」と手を打つ素晴らしさ。最後のロドニー・ジャーキンスの「Scared Of Lonely」はいつもの感じの安心印ですがそこそこの印象。そんな感じで「皆を満足させるわよっ」と鼻息の荒さが伝わるゴージャス仕様です。
「なーんか分煙させられてるような感じがしないでもないですが、流石ディーヴァ。見事な幕の内弁当ですわ」
Single Ladies
starfish