Bad Influence / The Street Sliders * 1987 Epic Sony

こんなにむさい音なのにビジュアル系故に過剰に人気のあるバンド、そんな印象だったスライダーズ。最初ストーンズの猿真似バンドとしか思えず大嫌いでしたが途中からすっかりはまったバンドです。女子に大人気ってことだけで「これは押さえとかなあかん」と無理からトライしても暫くダメでしたが、ある日友達が見せてくれた新宿都有地の野外ライブの映像。大勢の女の子を目の前にオープニングで「すれちがい」というヘヴィー級の重たい曲を媚びることなく演ってるのを見て“ええ根性しとる”と感じ一気に好きになります。そしてすぐに借りにいった当時の最新シングル「Easy Action」も大友康平の事でも皮肉ってるのかと思った最強のストーンズ・スタイルのミディアムナンバーで即効で気に入りました。この盤はその直後出たストリート・スライダーズの個人的に最高傑作と思ってるアルバムで、バンドの頭脳といえるHARRYこと村越弘明(Vo,g)のソングライティングも冴え渡る作品です。
中身はこの時期StonesもMickとKeithの仲違いもあり活動停滞中だった中で飢えてたのか、ある意味本家よりも王道サウンドと思える音を独自の世界観で昇華させたような内容がハートをぶち抜きました。何といっても冒頭の3曲が最高で、重たいリフからメジャー調のサビへ転換するのがなんとも粋な「ダイヤモンドをおくれよ」、HARRYのキャッチーな曲でも頂点といえる「I Don't Wanna Miss You」、素晴らしかったシングルテイクからなぜか録り直したもののやはり最高な「Easy Action」と抜群の流れです。後半戦も軽快なR&R「Hold On」やシニカルな歌詞も最高な「Hyena」と名曲がバンバン続きます。題名だけだと北島三郎か志賀勝かと思う「道」や「風が強い日」と“けだるい系”も好調。唯一残念なのはビジュアル的にHARRYと人気を二分していた手堅いギタープレイの蘭丸のVo曲だけは二流バンドに成り下がってるとこです。
「バンドでもスライダーズやっときゃ女子にも見てもらえてエエもんでしたな。」
EASY ACTION
inmyheart