Aftermath / The Rolling Stones * 1966 Decca

なんだかんだいって全部聴いてきたストーンズですが、最初サッパリ良さが分からんかった本国4枚目のアルバム。何度も何度も聴いた“Still Life”の81年アメリカ・ツアーのストーンズが大のお気に入りとなり、そこで演奏してたスタジオ録音を聴きたくなるわけですが、辿り着いたのが名曲「Under My Thumb」が収められた本作。全曲初のジャガー/リチャード作品で構成された意欲作とはいえ、最初の3枚目までにあった独特のR&B臭が薄まり、よりカラフルでサイケな方向へと向かいつつあった時期で、個人的にはストレートなロックン・ロールがもう少し欲しかったのが本音。雑誌とか読んでも“初期の最高傑作”とか書かれてたりしましたが、「どこがやねんっ」と心の狭い私は思ってました。
そんなことで中身。いきなり「Mother's Little Helper」でミックの重い歌声にブライアンのシタールが絡むサイケなサウンド。ガツンっとくるロック・サウンドを想定してた当時のギター小僧は引きましたヨ。だんだんギターに興味を失っていったブライアンが様々な楽器をイジり出していて、美メロな名曲「Lady Jane」ではダルシマーも登場。この辺は曲の良さも手伝って奏功してます。しかしながら11分もあるブルース大作「Goin' Home」などは、3分半にまとめてくれてたらもっと好きになってたかも知れないヘヴィー級の退屈さでした。コレをまともに集中力持って聴き通せるティーンはあまりいない筈。ただ前作から踏襲のストレート・アヘッドな「Stupid Girl」や、ルーツのブルースを意識した「Doncha Bother Me」なんかがあるので救われます。一方、コンポーザーとしての腕が上がってきたのがガンガン伝わるのがモータウンR&Bっぽい洗練された曲調で、ブライアンのマリンバも印象的な「Under My Thumb」はやはり名曲。そしてクリス・ファーロウもヒットさせた「Out Of Time」や「Think」も同様で、キャッチーなサビも最高です。特に前者は本作ハイライトとも言っていいクオリティ。「High and Dry」は傑作“Beggars Banquet”で開花するスワンプ路線にも通ずるブルース・ハープ&アコギもカッコいい曲。またイアン・スチュワートのブギウギ・ピアノが冴える「Flight 505」や、チャック・ベリー・スタイルの「It's Not Easy」は曲のインパクトは弱いながらもデビュー時に通じる佳作。劇的なサビはそこそこカッコいい「I Am Waiting」ってのもあるから、侮れません。
「幼虫からサナギになった頃のストーンズ。キャッチーなシングル集と共に、聴くべし!」
Lady Jane
Out Of Time
片山ニク