So Intense / Lisa Fischer * 1991 Elektra
年末のお休み、お薦めの映画が話題の“20 Feet From Stardom”(バックコーラスの歌姫達)。ソウル・ファンにとって結構おもしろい映画ですが、様々な映画祭でも賞をを獲ったナカナカのドキュメンタリーです。フィル・スペクターの下で活躍したダーレン・ラヴ、“Gimme Shelter”でデュエットしたメリー・クレイトン、モータウンにもいたタタ・ヴェガ、アイケッツにいてあの“Brown Sugar”をミックにインスピレーションさせたクラウディア・リニア、マイケル最後のデュエッット・パートナーとなるジュデス・ヒルといったメインを張ることが少ない黒人シンガーが続々フィーチャーリング。興味深い人生がテンポ良く映し出されます。決して実力だけではスポットライトを浴びることはないのがコノ世界。やはり運やコネ、その人の強い意志、放つオーラが重要であると思い知らされます。しかし完璧に歌ってもクレジットさえ他人名義にされたダーレン・ラヴなんかは不運としか言いようがないです。天才フィル・スペクターとはいえコレは惨いです。その中で紹介されてたのがリサ・フィッシャー。近年ではストーンズ・ツアーのバック・コーラスでもお馴染みで“Gimme Shelter”でのミックとの掛け合いもハイライトとなってる人です。限られた時間で正確さを求められるプロ仕事をきっちりこなし、ポジティヴに生きる彼女。今ではファットなおばちゃんですが、カッコええ人です。
結構かっちり作られた91年の唯一のR&Bアルバム。 ストーンズのスティール・ホイールズ・ツアーでバック・シンガーとして廻った後に放ったグラミー獲得ヒット「How Can I Ease the Pain 」を含んだ力作です。ナラダ・マイケル・ウォルデンの媚びたようなベタなアレンジですがリサの歌唱は聴くモノを黙らせる上手さ。なぜか日本語での“ごめんなさい、愛しています”っていう台詞にもゾクっとします。私が知る限り、この台詞が似合うのはリサか森尾由美しかいません。一方、R&Bとして素晴らしい仕上がりを見せるのが80年代にバックで仕えたルーサー・ヴァンドロスのプロデュース曲。マーカス・ミラーがファンキーなベースで支える「Get Back to Love」、クールな「Some Girls」や「Send the Message of Love」はリサの魅力を上手く引き出した好ダンス・ナンバー。“悲しい色やね”にも通じるスカイラークの名スロウ「Wildflower」も演ってます。グラディス・ナイトとも名仕事をしたGiles/Cornelius Mimsによるミッド・ダンス「So Tender」や、重鎮アリフ・マーディンによるクワイエット・ストームな「Chain of Broken Hearts」も聴きどころ。
「その後、ソロ作を作ることなくバックに徹したリサ。これも潔い生き方です!」
How Can I Ease the Pain
guitamac
No title